RPAを導入しても、シナリオ作成が難しく、なかなか自動化が進まないとお悩みの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、RPAシナリオの作成手順や、シナリオ作成を成功させるためのポイントやコツをわかりやすく解説します。RPAに興味はあるけれど、イメージが沸かない・不安があるという方はぜひ参考にしてください。
RPAシナリオとは?
RPAシナリオとは、ロボットに実行させたい一連の作業手順を可視化したものです。例えるなら、ロボットに何をどのように処理してほしいかを記したレシピのようなものだといえます。
シナリオには、主に以下のような内容が含まれます。
- ロボットが操作する画面や画面遷移
- 入力するデータや読み取るデータ
- 条件分岐や繰り返し処理
- エラー発生時の対処方法
シナリオを作成することで、業務担当者とロボットの役割分担が明確になり、自動化の全体像が把握しやすくなります。また、シナリオがあれば、別の担当者でもロボットを同じように動かすことができるため、業務の引き継ぎもスムーズに行えます。
RPAシナリオは簡易版だと手軽にできる
RPAシナリオには、「簡易版」と「開発版」の2種類があります。それぞれの特徴は以下の通りです。
項目 | 簡易版 | 開発版 |
---|---|---|
作成方法 | 画面操作を記録 | プログラミング |
必要なスキル | とくになし | プログラミング知識 |
習得の難易度 | 低い | 高い |
作成時間 | 短い | 長い |
カスタマイズ性 | 低い | 高い |
簡易版シナリオは、RPAツールの画面記録機能を使って作成します。業務をいつも通りに行いながらマウスやキーボードの操作を記録するだけで、シナリオが完成します。プログラミングの知識は不要なので、現場の業務担当者でも簡単に作成可能です。
一方、開発版シナリオはプログラミングによって作成します。RPAツールが提供する機能を組み合わせてシナリオを作るのが基本ですが、機能だけでは実現できない処理については、コーディングが必要です。
RPAを導入する際は、まずは簡易版から始めることをおすすめします。簡易版なら短期間で自動化を実現でき、RPAの効果を実感しやすいためです。そして、徐々に開発版にもチャレンジし、より高度な自動化を目指していくと良いでしょう。
\事例を含めて5分でRPAがわかる/
RPAシナリオの作成手順
RPAシナリオの作成手順は以下の通りです。
- RPAシナリオの作成準備
- シナリオの実装
- シナリオのテストと検証
- シナリオの運用と保守
まずは自動化したい業務を選定し、その目的を明確にすることが重要です。それぞれ詳しく見ていきましょう。
RPAシナリオの作成準備
RPAシナリオを作成する前に、以下のような準備が必要です。
自動化する業務の選定
- 定型的で大量の処理が発生する業務
- ミスが発生しやすい業務
- 人員の確保が難しい業務
自動化の目的の明確化
- コスト削減
- 処理速度の向上
- 品質の安定化
現状の業務フローの可視化と分析
- 業務フローの可視化
- RPA化に適した部分の特定
- 自動化による費用対効果
特に、自動化する業務の選定は重要です。単にRPA化できそうな業務を選ぶのではなく、費用対効果を考慮し、優先順位をつける必要があります。タスクマイニングツールを活用すれば、自動化に適した業務の特定や、期待される効果の算出が可能です。
シナリオを実装する
シナリオの実装は、使用するRPAツールが簡易版か開発版かによって異なります。
- RPAツールの画面記録機能を使用
- 業務を実際に行いながら、操作を記録
- 記録した操作を再生し、動作を確認
- 必要に応じて、記録した操作を編集
- RPAツールの開発画面で、シナリオをプログラミング
- プログラミングに必要な処理をする
- プログラミング処理をしたシナリオを実装
- 変数やパラメータを設定し、柔軟性を持たせる
簡易版RPAツールはプログラミングの知識がなくても扱えるため、導入のハードルが低いのが特徴です。しかし新たな業務フローをRPAで構築する場合は、設計が必要になります。
一方、開発型RPAツールは柔軟なカスタマイズが可能な反面、専門的な知識が必要です。
シナリオ通りに動くかテストする
シナリオ実装後は、意図した通りに動作するかを確認するためのテストが必要です。テストを省略して本番運用を開始すると、予期せぬエラーが発生し、業務に支障をきたすリスクがあります。
テストは以下の順序で行うのが一般的です。
個々の処理が正しく動作するかを確認
例:エクセルを開く、データを抽出するなど
一連の処理が正しく連携して動作するかを確認
例:エクセルからデータを抽出し、フォーマットに入力するなど
実際の業務データを使用して、問題なく動作するかを確認
テストデータでは発見できなかった問題を洗い出す
長時間の稼働や大量データの処理で、問題なく動作するかを確認
上記のテストを丁寧に行うことでシナリオの品質を高め、本番運用時のトラブルを未然に防ぎましょう。
シナリオを業務に組み込む
テストが完了し、シナリオが問題なく動作することが確認できたら、いよいよ実際の業務にシナリオを組み込みます。
この段階では、以下のような作業が必要です。
シナリオの実行スケジュールの設定
- 業務の性質に合わせて、実行タイミングを決定
例:毎日定時に実行、特定の条件が満たされたら実行など
実行結果の確認方法の設定
- 正常に処理が完了したか、エラーが発生していないかを確認する仕組みを用意
例:ログの出力、メールでの通知など
実行権限の設定
- シナリオの実行は、必要最小限の権限を持つユーザーに限定
- 不用意な実行を防ぎ、セキュリティを確保
トラブル発生時の対応手順の整備
- エラー発生時の対処方法を明確化
例:エラー発生時の連絡先、対処手順のマニュアル化など
上記の作業は、サポート契約を結んでいる場合、専任担当者のサポートを受けながら進められます。
シナリオの保守・運用
RPAシナリオは、一度作成して終わりではありません。業務の変化に合わせて、継続的にメンテナンスを行う必要があります。
シナリオの保守・運用では、以下のような作業が必要です。
シナリオの定期的な動作確認
- 想定通りに動作しているか定期的にチェック
例:週次でのテスト実行、ログのモニタリングなど
業務変更に伴うシナリオの修正
- 業務フローや使用するシステムの変更に合わせてシナリオを修正
例:Webサイトの構成変更に伴うシナリオの修正など
シナリオの実行ログの分析
- 処理時間の短縮やエラー発生率の低減など、改善点を探る
- ボトルネックの特定と解消に活用
シナリオのバージョン管理
- シナリオの変更履歴を管理し、トラブル発生時の原因特定やロールバックを容易に
上記の作業も、サポート契約を結べば対応してくれます。簡単なシナリオ作成の成功体験を積めたら、新しいシナリオ作成へ移りましょう。
\事例を含めて5分でRPAがわかる/
RPAシナリオの作成ポイント
RPAシナリオを効率的に作成するためのポイントは以下の通りです。
- シナリオ作成が難しくないものから始める
- 部分的に業務を自動化するようにする
- 費用対効果のある業務から自動化する
- 複数人が作成できるような体制を作る
ここでは、RPAシナリオ作成時に気をつけるポイントを解説します。
シナリオ作成が難しくないものから始める
RPAの導入初期は、いきなり複雑で難易度の高いシナリオ作成に取り組むのは避けましょう。難易度が高いと、作成途中で挫折してしまう可能性があります。
まずは、以下のような業務から自動化に着手するのがおすすめです。
- 定型的な処理が多い
- 処理の流れが明確で分岐が少ない
- 例外処理が少ない
- 入力データの形式が統一されている
上記の特徴を持つ業務なら、シナリオ作成が比較的容易で、自動化の効果も実感しやすいでしょう。簡単な業務から始めることでRPAに対する理解を深め、シナリオ作成のスキルを徐々に高められます。
部分的に業務を自動化する
業務フロー全体を一気に自動化しようとすると、シナリオが複雑になり、作成が難航する恐れがあります。そこで、業務フローを分割し、部分的に自動化を進めていくことをおすすめします。
例えば、以下のように業務を分割して自動化を進めると良いでしょう。
- データの収集と整形
- データの検証とエラーチェック
- データの処理と加工
- 処理結果の出力と保存
このように業務を分割して部分的に自動化することで、シナリオ作成に慣れることができます。また部分的な自動化を進める中で、新たな自動化のアイデアが生まれることもあるでしょう。
費用対効果のある業務から自動化する
RPAの導入には一定のコストがかかります。そのため、自動化する業務は費用対効果を十分に検討する必要があります。
タスクマイニングツールを活用すれば、自動化候補の業務について以下のような観点で評価できます。
- 作業時間や作業コスト
- 自動化推奨度
- 自動化の効果
- 自動化の難易度
上記のポイントを総合的に判断し、費用対効果が高く、かつ難易度が高くない業務から優先的に自動化を進めましょう。
複数人が作成できるような体制を作る
RPAシナリオの作成を特定の担当者に依存してしまうと、属人化のリスクが生じます。担当者が不在になった場合、シナリオの保守や更新が滞ってしまう恐れがあるのです。
そこで、複数人でシナリオ作成ができるような体制を整えることが重要です。
具体的には、以下のような取り組みが効果的でしょう。
- シナリオ作成のルールやガイドラインを整備する
- シナリオのレビュー体制を確立する
- シナリオのバージョン管理を徹底する
- 定期的に勉強会や情報共有の場を設ける
上記の取り組みを通じて、シナリオ作成のノウハウを組織全体で共有し、属人化のリスクを軽減しましょう。
\導入効果を最大化する方法を解説/
シナリオ作成のサポートが手厚いRPAを選ぼう
RPAシナリオの作成は、ポイントを押さえていてもなかなか社内に浸透せず、自動化が進まないことがよくあります。そのため、シナリオ作成をサポートしてくれるRPAツールを選ぶのがおすすめです。
まずは一つのシナリオ作成に成功することが、RPAの社内展開を進める上で大切なステップになります。
BizteX robopは使いやすくてサポートが手厚い
BizteXでは、前述した簡易版にあたるシナリオ作成のしやすいRPA「BizteX robop」を提供しています。2時間ほどで基本的な操作を覚えられるだけでなく、初めての人でも挫折しづらい学習プログラムを用意しています。導入企業のおよそ7割は現場部門で活用しています。
専任担当者による手厚いサポートもあるため、困ったときにもすぐに解決することができます。
以下が、BizteX robopの3つの大きな特徴をまとめたものです。
- 初心者でも覚えやすい学習プログラムが豊富
- 習得時間が短い(2時間以内に基本スキル取得可能)
- 即日対応可能な充実のサポート(運用代行も可能)
デスクトップ型RPAのため、「自社開発ツール」や「独自の管理画面」といったレガシーシステムにも対応可能です。2週間の無料トライアルも行っていますので、お気軽にお問い合わせください。
無料トライアル期間に作成したシナリオはご契約後も継続してご活用いただけます。
\非IT部門でも運用できる使いやすいUIが特徴/
RPAシナリオの作成事例
ここではBizteXのRPAで作成したシナリオ事例をご紹介します。
どの企業様もRPAを初めて触る方がほとんどでしたが、サポートしながらシナリオ作成することで、業務自動化を実現しています。
業界ごとにそれぞれ解説しています。
EC業界で自動化できたRPAシナリオ例
売り上げを拡大するために一つのECサイトだけでなく、複数のモール型EC(※)に商品を出品していたEC企業の事例です。
※Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングなど
複数のモール型ECへの商品出品は、売上が拡大しやすいですが、各モールの受注情報を集約させるのはかなりの時間がかかってしまいます。
こうした場合には、RPAで下記のようなシナリオ作成をして自動化ができます。
↓複数モールの受注情報を自動取得
↓CSVファイルとして自動ダウンロード
↓基幹システムへ自動アップロード
上記の自動化シナリオを作成したことで、今まで手動で1日に1回、時間をかけて行っていた作業が3時間に1回(8回/日)行えるようになりました。
こちらの事例を含めたEC業界の自動化シナリオ作成は下記記事で詳しく解説しています。
出版業界で自動化できたRPAシナリオ例
自社で作成した本や手帳などの出版事業を行う企業の事例です。
この事例では、全国の店舗で販売した商品のPOSデータの集計作業に多くのリソースを取られていました。日別データは手動で、月別データはマクロで自動化して集計していました。マクロでの自動化は便利に見えますが、大量のエラーが発生してしまうため、結局、人による監視が必要でした。
こういった問題点を解決するために、RPAで下記のようなシナリオ作成をして自動化をしました。
↓店舗一覧をもとにPOSデータを自動取得
↓指定フォルダへ自動アップロード
↓完了/失敗通知
上記の自動化シナリオを作成したことで、日別のデータ集計は出社時には自動で完了している状態へ改善、月別のデータ集計は7時間/月から3時間/月へ短縮されただけでなく、大量に発生していたエラーもなくなりました。
こちらの事例は下記記事でより詳しく解説しています。
\費用対効果が出たRPA事例を業務別に紹介/
RPAシナリオはサポート付きなら簡単
RPAのシナリオ作成は、専門知識がないと難しいと感じる方も多いでしょう。しかし、適切なサポートが受けられるRPAツールを選べば、シナリオ作成は決して難しいものではありません。
サポート付きのRPAツールには、以下のようなメリットがあります。
- シナリオ作成の相談に乗ってもらえる
- トラブル発生時に迅速に対応してもらえる
- 操作方法や活用事例を学べるセミナーに参加できる
特にシナリオ作成の相談は、RPAの導入初期には欠かせません。業務の自動化には、現場の業務知識とRPAの技術知識の両方が必要になります。サポート担当者と一緒にシナリオを作成することで、両方の知見を融合させ、効果的な自動化を実現できるでしょう。
\非IT部門でも使いやすく覚えやすいRPA/