銀行や金融業界は、定型業務の多さからRPA導入が進んでいます。本記事では、大手銀行の具体的なRPA活用事例を紹介し、業務効率化やヒューマンエラー防止のポイントを詳しく解説します。
また、地方銀行での導入が進んでいない理由や、RPA導入によるメリットについても取り上げ、金融業界全体でのRPAの可能性を探ります。
銀行・金融業界でRPAが導入されている背景
銀行や金融業界には、多くの定型業務が存在するため、RPAの導入が進んでいます。特に以下のような定型業務がRPAに適しており、自動化による大きな効果が期待できます。
- 振替処理:振替処理は決まったルールに基づいて行われるため、RPAによって効率的に処理できる
- 口座開設処理:新規口座の開設手続きは定型的な作業が多く、RPAで自動化することで迅速化が可能
- 顧客データの収集作業:膨大な顧客データを収集・整理する作業も、RPAによって正確かつ迅速に行える
このように、銀行業界は多くの定型業務が存在するため、RPAの導入により業務効率化とヒューマンエラーの防止が図れます。
関連記事:RPAとは?意味や導入事例を簡単にわかりやすく解説!
地方銀行ではRPAの導入が進んでいない
大手銀行と比べると、地方銀行ではRPAの導入があまり進んでいないのが現状です。大和総研の調査によると、効率性を重視した計画を立てている地方銀行は約半数にとどまっています。
その理由として、以下のような点が挙げられます。
IT投資への慎重姿勢
- 限られた経営資源の中で、RPA導入への優先度が低い
- 導入コストに対する効果が不透明であるため、投資に踏み切れない
人員削減への抵抗感
- RPAを導入することで、人員削減につながるのではないかという懸念がある
- 地域との結びつきが強い地方銀行では、雇用維持への配慮が必要
デジタル化の遅れ
- IT人材の不足や、レガシーシステムの存在など、DX化の障壁が多い
- RPAを導入する前提となるデジタル化が進んでいない
ただし、地方銀行も生き残りをかけて、業務効率化に取り組む必要に迫られています。RPAは、地方銀行の課題解決に大きく貢献する可能性を秘めているのです。
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銀行・金融業界でRPAを導入するメリット
銀行・金融業界では、定型的な事務作業が多く、RPAの導入によって大幅な業務効率化が期待できます。ヒューマンエラーの防止、人手不足の解消、コア業務へのリソースシフトなど、さまざまなメリットがあります。
ここでは、RPAを導入することでどのような効果が得られるのか、詳しく解説します。
ヒューマンエラーを防止できる
銀行・金融業界はお金を扱う業務が多いため、ミスが許されません。しかし、人間が作業を行う以上、完全にミスをなくすことは難しいのが現状です。
RPAを導入することで、人的ミスを大幅に減らすことができます。RPAは設定されたルールに従って正確に作業を実行するため、入力ミスや計算ミスなどのヒューマンエラーを防ぐことが可能です。
またRPAはつねに同じ品質で作業を行うため、業務の品質が安定します。人間の場合、体調や気分によって作業の質がばらつくことがありますが、RPAならそういったことがありません。
さらにRPAを導入することで、従業員の心理的な負担も軽減できます。ミスへの不安から解放されることでストレスが減り、モチベーションの向上にもつながるでしょう。
人手不足の課題を解消できる
銀行・金融業界では、業務量の増加に対して人員が不足しがちです。特に、定型的な事務作業や大量のデータを扱う業務では、人手不足の影響が大きくなっています。
RPAを導入することで定型業務を自動化し、人手不足の課題を解消できます。RPAは24時間365日働くことができるため、人間の何倍もの仕事をこなすことが可能です。
またRPAに定型業務を任せることで、人件費を抑えることができます。単純作業を行う人材を新たに雇う必要がなくなるため、採用コストの削減にもつながります。
コア業務へリソースを割ける
RPAを活用して定型業務を自動化することで、より付加価値の高いコア業務に注力できます。
RPA導入による、営業・事務担当者のメリットは以下の通りです。
- 営業担当者:提案活動や資料作成など、顧客との直接的なコミュニケーションに時間を割ける
- 事務担当者:窓口業務や電話対応など、顧客サービスの向上につながる業務に専念できる
コア業務により多くのリソースを投入することで、顧客満足度の向上や新たなビジネスチャンスの創出が期待できます。
RPAに任せられることは任せ、人の判断が必要な業務に集中することが可能です。
\導入効果を最大化する方法を解説/
関連記事:RPA導入のメリットとは?デメリットや導入効果が出た事例も解説
大手銀行のRPA活用事例
RPAは、大手銀行で業務効率化とヒューマンエラー防止のツールとして広く導入されています。
ここでは、三菱住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行の具体的な活用事例を紹介し、各銀行がどのようにRPAを活用しているかを詳しく解説します。
三井住友銀行のRPA導入事例
三井住友銀行は、生産性向上と業務効率化を目的にRPAを導入しています。2019年度末までの3年間で500億円、中期的には1,000億円のコスト削減を目指しています。この目標達成のために「業務改革室」を設立し、全社的な取り組みを開始しました。
RPAの24時間365日稼働する特性を活かし、事務作業の自動化に注力しており、無駄な業務の廃止や重複業務の統合を進めています。
これまでに約200業務、累計40万時間の業務量を削減。また、パートナー各社との共同チームを設置し、継続的な業務改善や新たな自動化案件の開拓を進めています。
参考:生産性向上の実現に向けたRPA(Robotic Process Automation)の活用について
三菱UFJ銀行のRPA導入事例
三菱UFJ銀行は、RPAをコンプライアンス部門に導入し、自動化によって正確な業務処理を実現しています。特に、手作業の多い業務を効率化し、銀行業務の生産性向上に大きな成果を上げました。
金融機関におけるコンプライアンス業務は、膨大なデータの収集・分析が必要とされるため、自動化による効率化が非常に重要です。RPAを活用することで、各種データベースや記録にアクセスし、証跡を残す作業を自動化し、業務の正確性とスピードを大幅に向上させました。
また、RPAの導入により約20業務で累計2万時間の作業を削減。大量の事務作業や定型業務を自動化することで、従業員はより高度な判断を要する業務に集中できるようになりました。
参考:三菱東京UFJ銀行が可能性を拡げる、金融機関でのRPA導入による業務効率化
みずほ銀行のRPA導入事例
みずほ銀行は、業務の種類に応じて2つのアプローチでRPAを導入しています。
1つ目は、事務センターでの「データ量が多く種類が少ない」業務で、年数十万時間のPC作業を自動化しています。
2つ目は、銀行本部での「データ量が少なく種類が多い」業務です。コストを抑え効率的に開発するため、現場の社員が自ら開発を担う内製化策を採用しています。内製化を進めるため、ハード面・ソフト面・枠組み面の3つの支援策を講じています。
ハード面では、システム開発の経験がない社員でもソフトウェアロボットを開発できるように、日本語での開発環境やサポートサービスが充実したRPAを導入し、社員のRPA開発をサポートしています。
こうした取り組みの結果、みずほ銀行は年77万時間のPC作業を自動化する成果を得ています。
参考:みずほ銀行がRPA導入で年77万時間分の効率化、効果てきめんの「2大作戦」とは
\RPAは金融業界でも活用できる/
銀行・金融業界でRPA導入する流れ
銀行や金融業界でRPAを導入する流れは、以下の通りです。
まず、RPAで自動化したい業務を洗い出します。業務の負荷が高いものや定型作業が多いものなど、優先順位をつけて選定します。
次に、自動化する業務に必要な機能やサポートが備わっているRPAツールを比較検討します。銀行や金融機関では、セキュリティやコンプライアンスの観点からも慎重な選定が求められます。
選定したRPAツールをトライアル導入し、実際に業務を自動化して効果を検証します。サポート体制や操作性を確認し、自社の業務に最適なツールを選びます。現場の社員が使いやすいかどうかも重要な判断基準です。
トライアルの結果が良ければ、販売元のサポートを得ながら導入を進めます。現場のニーズに応じて自動化を進め、業務のルールが変わればその都度対応します。サポート体制が手厚いRPAツールを選んでおくと、運用・保守の面でも安心です。
関連記事:RPAシナリオとは?初心者でも作成できる手順例やポイントを解説
銀行・金融業界でRPAの導入を成功させるポイント
銀行や金融業界でRPAを導入し、成功させるためのポイントは以下の2つです。
- 現場レベルで使えること
- 導入後のサポートが手厚いこと
上記のポイントを押さえ、計画的にRPAを導入することで、銀行や金融業界における業務効率化と生産性向上を実現できます。
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
専門知識がなくても誰でも簡単に使えるか
銀行や金融業界でRPAを導入する際、現場レベルで使いやすいことが重要です。RPAツールは、専門知識がなくても簡単に操作できるものであることが求められます。
現場の担当者が誰でも手軽に利用できることで、業務の効率化がスムーズに進みます。特に、システム開発の経験がない社員でもソフトウェアロボットを作成できるよう、直感的な操作が可能なRPAツールの選定が重要です。
自動化フロー作成までサポートしてくれるか
RPAの導入を成功させるためには、導入後のサポートが手厚いことが欠かせません。製品自体の性能が優れていても、サポート体制が不十分であれば、RPAを十分に活用することはできないからです。
特に、ベンダーが自動化フロー作成までしっかりサポートしてくれるかどうかをチェックしましょう。また、操作方法が分からない場合やシステムにエラーが発生した際には、すぐに問い合わせて対応してもらえるサポート体制が必要です。これにより、RPAの効果を最大限に引き出し、業務の効率化を図ることができます。
\RPAは金融業界でも活用できる/
関連記事:
なぜRPAは意味ない・役に立たないと言われるのか?
RPAの導入は失敗しやすい?失敗事例からみる成功のポイント
銀行・金融業界の自動化にピッタリのRPA「BizteX robop」
BizteXでは、デスクトップ型RPA「BizteX robop」を提供しています。基本的な操作が約2時間で覚えられるわかりやすい学習プログラムや、専任担当者による手厚いサポートがあり、導入企業の約7割が現場部門で活用しています。
また、導入後のロボット作成を全て委託したい方向けに、運用代行サービスもご用意しています。
デスクトップ型RPAのため、「自社開発ツール」や「独自の管理画面」といったレガシーシステムの自動化も可能です。
\非IT部門でも運用できる使いやすいUIが特徴/
BizteX robopで自動化した銀行・金融業界の導入事例
BizteX robopで費用対効果が大きく出た銀行・金融業界の導入事例をいくつかご紹介します。
保険料の精算報告書の作成・精査業務の自動化例
こちらの事例では、紙で印刷された保険料の精算状況報告書を目視で確認し、手作業で所定の金額を消込していました。
この報告書作成・精査業務をBizteX robopとAI-OCRを活用して自動化しました。
AI-OCRで紙の報告書はCSVデータで確認できるようになり、BizteX robopでCSVデータから正確に報告書を作成・精査できるようになりました。自動化したことで、年間4万時間の削減が実現しています。
金融庁への事業・業務報告書データの取り締め・送付業務の自動化例
こちらの事例では、営業本部へ送られてくる報告書のPDFデータを手作業で金融庁用のデータへ取りまとめ、送付していました。
この事業・業務報告書データの取り締め・送付業務をBizteX robopとAI-OCRを活用して自動化しました。
AI-OCRによって営業本部へ送る報告書のPDFデータを自動でCSVデータへ変換し、そのデータをもとに自動でBizteX robopが金融庁用のデータへ取りまとめ、送付まで行います。
この自動化によって、月1,000時間分もの時間が削減されました。
住宅ローン申込書の入力業務の自動化例
こちらの事例では、不動産担当者から送られてくるローン申請書類を代理店担当者が管理システムへ手入力し、その後書類をPDF化、最後に住宅ローン担当者がPDFデータをもとに審査システムへ手作業で転記し申請を行っていました。
この住宅ローン申込書の入力業務をBizteX robopとAI-OCRを活用して一部自動化しました。
AI-OCRによって、代理店担当者が作成した書類を自動でCSVデータへ変換し、そのCSVデータをもとに自動でBizteX robopが審査システムへ各データを転記・申請できるようになりました。
200項目にも及ぶ転記作業を自動化した結果、審査時間が大幅に短縮され、それによって成約率も向上しました。
BizteX robopでは2週間の無料トライアルが行えます。上記のような自動化も無料期間に試してみましょう。
\2週間お試し利用ができます/
関連記事:RPA「BizteX robop」の導入事例まとめ
銀行・金融業界をRPAで効率化
銀行・金融業界は、業務の自動化・効率化を進めるために、RPAを積極的に導入しています。人の手で行う作業はミスが発生するリスクがつきものですが、RPAを導入することでヒューマンエラーのリスクを大幅に低減できます。
三井住友銀行・三菱UFJ銀行・みずほ銀行などの大手銀行では、RPAを活用して業務効率化を実現しています。コンプライアンス業務や情報収集業務など、幅広い分野でRPAが活躍しており、業務時間とコストの削減に成功しています。
今後は大手銀行の成功事例を参考に、より多くの銀行・金融機関がRPAを導入していくことが予想されます。業務の自動化・効率化は、もはや銀行・金融業界にとって避けて通れない課題です。各金融機関がRPAの可能性を最大限に引き出し、業務革新を進めていくことが期待されます。
\非IT部門でも使いやすく覚えやすいRPA/