GoogleスプレッドシートのAPI連携・自動化を解説｜iPaaS活用〜継続運用まで完全ガイド

Googleスプレッドシート（Google Sheets）を日常業務で活用している企業は多いですが、「他のシステムと連携できていないために、CSVの手作業転記や定期レポート作成に時間がかかっている」といった課題を抱えるケースは少なくありません。

APIを活用すれば、Googleスプレッドシートに蓄積されたデータを他システムと自動連携し、業務効率を飛躍的に向上させることが可能です。しかしながら、「APIと聞くだけで難しそう」「社内にエンジニアがいない」「作っても運用が続かなかった」といった理由で、活用できていない企業も少なくないのではないでしょうか。

本記事では、GoogleスプレッドシートのAPI連携概要から、ノーコードで実現できるiPaaS連携、さらに設計〜保守までを担う「インテリジェント フロー」による自動化の仕組みまで、具体例を交えながら解説します。

スプレッドシートに潜む“手作業の限界”と“見えないムダ”

Googleスプレッドシートは、情報を一元管理・加工できる柔軟なツールとして、多くの企業で営業・経理・人事などに活用されています。

一方で、運用が長期化するにつれ、「手作業による転記や確認の手間」「情報の更新遅れ」「属人化」といった課題が目立ち始めます。

• 他システムからのデータ転記に時間がかかる
• 手入力の属人化により、エラーや確認漏れが発生
• 承認コメントや進捗状況を別ツールで管理している
• 定期レポートを毎回手作業で集計・更新している

これらの作業は一見するとルーチンで単純に思えますが、関係者が増えるほど「どこが最新かわからない」「誰が対応済みか不明」といった混乱が生まれやすくなります。

情報共有の分断やブラックボックス化は、知らないうちに業務全体の効率を下げているのです。

なぜ今、GoogleスプレッドシートのAPI連携が必要なのか？

Google Sheets APIを活用すれば、これまで人手に依存していた“前後の業務”をまとめて自動化できます。

たとえば以下のようなことができます。

• Slackやメールで送信された日報をスプレッドシートに自動記録
• フォーム経由の問い合わせ情報を分類・加工してkintoneへ登録
• 月次集計をトリガーにGoogle Driveへ自動保存・共有
• データ更新を検知して、承認担当者にSlackで通知

このように、Googleスプレッドシートを軸にした業務全体をAPIでつなぐことで、情報の一元化・業務スピードの向上・属人化の解消を同時に実現できます。

Googleスプレッドシート APIとは？基本概要とできること

Googleスプレッドシートは、クラウド上で手軽に使える表計算ツールとして広く活用されています。APIを使えば、スプレッドシートの読み書きや更新、シートの追加・削除、共有設定の制御などを外部から自動で実行できます。

たとえば、Slackのメッセージを自動記録したり、kintoneやNotionのデータと連携して情報を更新したりといった使い方が可能です。手作業での転記や集計をなくし、他ツールとの連携によって業務全体の自動化・効率化を実現できます。

Googleスプレッドシート APIは、「データを記録する場所」ではなく、「業務間をつなぐハブ」として活用するための基盤といえるでしょう。

※関連記事：APIとは？仕組みと連携メリットを簡単に解説｜

ノーコードでGoogleスプレッドシート APIを活用する方法

Googleスプレッドシート APIは、シート内のデータ取得・更新・追加・削除といった操作を外部から実行できるインターフェースです。柔軟な活用が可能な一方で、仕様の理解やコードの実装が必要な場面もあり、「エンジニアがいない」「運用が属人化しそう」といった理由から連携に踏み出せない企業も少なくありません。

こうした課題を背景に注目されているのが、Googleスプレッドシートと他システムをノーコードで連携できる「iPaaS（Integration Platform as a Service）」の活用です。

BizteX Connectで実現するスプレッドシートのノーコード連携

iPaaSは、複数のクラウドサービスや業務アプリをノーコードでつなぎ、フロー全体を自動化できるプラットフォームです。なかでも「BizteX Connect」は、Google Sheets APIとの親和性が高く、マウス操作だけで連携フローを構築できる点が特長です。

たとえば、以下のような処理を自動化できます。

• Slackの日報をGoogleスプレッドシートに自動記録
• kintoneの申請データと突合してスプレッドシートを更新
• スプレッドシートの更新をトリガーに、承認依頼をSlackへ通知
• 日次で特定シートの集計データをDropboxに保存

これらの連携は、APIドキュメントを読み解かなくても構築可能で、現場の業務部門でも運用しやすいため、情シスの工数を抑えながらスピーディーな業務改善を実現できます。

※関連記事：iPaaSとは？仕組みとメリットをわかりやすく解説

属人化させないノーコード連携の仕組みづくり

従来、API連携の構築や保守は情報システム部門が担ってきましたが、ノーコードツールの導入により、業務部門主導でもフロー運用が可能になっています。BizteX Connectであれば、Googleスプレッドシートの業務活用も現場で進められ、部門ごとの改善要望にも柔軟に対応できます。

ただし注意が必要なのは、「作って終わり」にならないよう、運用・保守・改善を見据えた設計を行うことです。ルールが曖昧なままでは、フローが属人化し、メンテナンスの滞留やトラブル時の対応遅れにつながるリスクがあります。

ノーコード連携の利点を最大限に活かすためには、継続的に回せる仕組みを整えることが不可欠です。こうした運用課題を根本から解消する手段として、設計から保守・改善までを一括で担う「インテリジェント フロー」も、実用的な選択肢として注目されています。

iPaaSでのGoogleスプレッドシート連携を定着させるには？継続運用に必要な設計とは

iPaaSの普及により、Googleスプレッドシートと社内のさまざまなクラウドサービスや業務ツールをAPI連携し、日報の自動集計や申請データの可視化、レポートの自動作成といった処理をノーコードで構築できる環境が整ってきました。

しかし現場では、「連携フローは作ったのに誰も使わなくなった」「エラーが発生したまま放置されている」といった運用上の課題も少なくありません。その多くは、“運用設計”が不足していたことが原因です。

たとえば、Googleスプレッドシートと他ツールを連携するフローを構築した際、以下のような体制が事前に定義されていなければ、継続的な運用は困難になります。

• 誰がフローの修正・保守を担当するのか
• エラーや認証トラブルが発生したときにどう対処するのか
• 業務変更や改善要望をどうキャッチし、どこで反映するのか

実際、BizteXが実施した調査でも、iPaaSを導入していない企業の約4割が「スキルを持つ人材がいない」ことを主な懸念点として挙げており、技術的なハードル以上に“運用を支える体制”の整備が鍵を握っていることが明らかになっています。

Googleスプレッドシート連携を“止めない”ために｜機能する運用設計を

Googleスプレッドシートと他の業務システムをAPIで連携する際、重要なのは「一度動く仕組み」を作ることではなく、「継続して動き続ける仕組み」として設計することです。

現場では、以下のような変化が日常的に起こります。

• スプレッドシートの構成や列の増減
• フローの担当者の異動や退職
• 連携先のAPI仕様変更や認証切れ
• 新たな業務ニーズによる処理内容の見直し

こうした変化に柔軟に対応できるよう、構築段階から「誰が・何を・どう維持していくか」を明確に定義しておくことが重要です。特にノーコードツールで現場運用を目指す場合、属人化を防ぎ、仕組みとして“止まらない”連携体制を整備しておくことが前提になります。

BizteXでは、こうした継続運用の課題に対応する手段として、フローの設計〜構築〜保守〜改善までを一括で担う「インテリジェント フロー」も提供しています。ノーコード連携の定着を阻む“見えない運用の壁”を乗り越える選択肢として、ぜひ検討したい仕組みです。

スプレッドシート連携を“止めない仕組み”へ｜インテリジェント フローによる継続運用の自動化設計

GoogleスプレッドシートのAPIを活用して業務を効率化するには、ツールを導入すること自体よりも、その後の「設計・構築・保守・改善」をどのように支えるかが重要です。

インテリジェント フローは、iPaaSやRPA、AIといった複数のテクノロジーを組み合わせ、Googleスプレッドシートを含む各種業務ツールとの連携を、一貫して設計・実装・運用まで担う外部委託型の業務最適化サービスです。社内に専門スキルや十分なリソースがなくても、“止まらない業務フロー”を構築・維持できます。

「作ったフローが使われなくなった」「改善したくても人手が足りない」といった課題に直面している企業こそ、はじめから“継続運用できる仕組み”として業務全体を設計することが、真の成果につながるポイントです。

情報システム部門のリソースが限られている現場や、ノーコード運用の属人化に悩む業務部門にとっても、インテリジェント フローは実効性の高い選択肢となるでしょう。

インテリジェント フローの中核：IPOという考え方

インテリジェント フローの根幹にあるのは、BizteXが提唱する「IPO（インテリジェント・プロセス・オーケストレーション）」という概念です。これは、AIと人間の力を組み合わせて業務プロセス全体を再設計・最適化する枠組みで、従来のツール単体導入では実現できなかったプロセス全体の自動化・改善を可能にします。

IPOは以下の3つの要素で構成されています。

• プロセス・インテリジェンス（業務の可視化と改善ポイントの発見）
• ヒューマン・イン・ザ・ループ（AIと人の最適な役割分担）
• クロスプラットフォーム統合（複数システムの横断連携）

▼それぞれの詳細は以下の記事で解説しています。

＞＞プロセスインテリジェンスとは？
＞＞ヒューマンインザループとは？
＞＞クロスプラットフォーム統合とは？

Googleスプレッドシートと他ツールのAPI連携事例

GoogleスプレッドシートのAPIを使えば、あらゆるツールとの連携が可能です。ここでは、各業務でよくある問い合わせ処理・通知・記録の自動化フローを、ノーコードで構築した例を紹介します。

見積書を自動で作成・保存・共有｜Googleスプレッドシート × Google Drive × Slack

Googleスプレッドシートに入力した見積もり情報をもとにPDFを自動生成し、Google Driveに保存したうえでSlackへ通知することで、作成から共有までの業務を一気通貫で効率化できます。担当者が手作業でファイルを整えたり、共有漏れを気にしたりすることなく、標準化された業務フローが定着します。

チャットで受け付けた申請を自動で記録・通知｜ChatPlus × Googleスプレッドシート × LINE WORKS

ChatPlusで受け付けた申請内容をGoogleスプレッドシートに自動転記し、LINE WORKSに通知することで、入力ミスや確認漏れを防ぎながら申請情報を関係者にリアルタイムで共有できます。確認・承認・履歴管理といった工程も可視化され、申請業務の透明性とスピードが大きく向上します。

勤怠申請を自動で管理・通知｜KING OF TIME × Googleスプレッドシート × Slack

KING OF TIMEで申請された勤怠情報をGoogleスプレッドシートと照合し、Slackで上長に自動通知することで、確認遅れや対応漏れを防ぎながら、承認プロセスをスピーディーに進めることができます。申請内容の記録・通知が一元化されることで、管理部門の負荷も軽減され、運用ミスのリスクを最小限に抑えられます。

※連携可能なアプリ一覧はこちらからご確認ください。

よくある質問（FAQ）

GoogleスプレッドシートのAPI連携や、iPaaS・インテリジェント フローを活用した業務自動化について、よくいただくご質問をまとめました。

GoogleスプレッドシートとのAPI連携フローは、どれくらいの時間で構築できますか？

シンプルな連携であれば、1〜2日ほどで構築可能です。たとえば、日報データをSlackに通知したり、他のシステムに転記するフローなどは短期間で運用を開始できます。より複雑な業務連携が必要な場合でも、インテリジェント フローを活用することで、短納期かつスムーズな導入・運用が可能です。

ノーコードツール（iPaaS）はどこまで柔軟に設定できますか？

BizteX Connectでは、条件分岐や定期実行、通知連携（Slackやメール）はもちろん、スプレッドシートの自動更新や外部データとの突合、ファイル出力、Driveへの保存処理などもノーコードで設定できます。Google Sheets APIを活用した連携も、プログラミング不要で構築可能です。

IT人材がいない現場でも導入・運用できますか？

はい、可能です。インテリジェント フローでは「設計・構築・運用・改善」までを一括で代行できるため、専門知識がなくてもGoogleスプレッドシートを活用した自動化フローを日常業務に組み込むことができます。現場の業務に即した連携を、属人化させずに運用できます。

Googleスプレッドシート以外のツールとも連携できますか？

はい、可能です。Slack、Google Workspace、kintone、Salesforce、Boxなど、さまざまな業務ツールと連携できます。これにより、スプレッドシートを起点としたデータ連携や通知、進捗共有など、業務全体の最適化が実現します。

※無料プランでは、BizteX Connectを使った1フローの構築・試用が可能です。

スプレッドシートに登録した後、人が内容を確認・承認することはできますか？

はい、可能です。たとえば、フォームや外部システムから取り込んだデータをまずGoogleスプレッドシートに記録し、その内容を担当者が確認・承認したうえで、次の処理（通知・他システムへの連携など）に進むようなフローも構築できます。

人の目によるチェックを挟むことで、入力ミスや不備を防ぎながら、安全かつ確実にデータを活用できます。

まとめ｜Googleスプレッドシート連携の成否は“構築後の運用設計”で決まる

GoogleスプレッドシートのAPIやiPaaS連携は、業務のデータ集計・共有・記録を効率化する強力な手段ですが、単にフローを構築するだけでは、継続的な業務改善にはつながりません。

重要なのは、「誰が運用・改善を担うのか」「エラーや仕様変更にどう対応するのか」といった継続運用を見据えた設計＝仕組み化です。

BizteXが提供する「インテリジェント フロー」を活用すれば、Googleスプレッドシートを軸としたAPI連携を止まらずに稼働し続ける“業務インフラ”として構築可能です。設計から改善までを一括で担うことで、リソース不足や属人化の課題を抱える現場でも、安定した自動化を実現できます。

スプレッドシートを起点とした業務全体の最適化に向けて、「繋ぐだけで終わらせない」仕組みづくりに、今こそ取り組んでみてはいかがでしょうか。