BPaaSは、クラウド技術の進化に伴い、注目を集めるビジネスソリューションです。業務の効率化やコスト削減を実現する手段として、多くの企業が導入を検討しています。
本記事では、BPaaSの基本概念や導入メリット、導入プロセス、さらに具体的な活用事例までを詳しく解説します。
BPaaSとは何か?
BPaaS(Business Process as a Service)は、クラウド上で提供されるソフトウェア(SaaS)を活用し、企業の業務プロセスの一部または全体を外部の専門企業に委託するサービスです。SaaSの柔軟性とBPOの専門性を組み合わせることで、企業は従来のアウトソーシングよりも高度な業務効率化とコスト削減を実現できます。
たとえば、経理業務や人事業務、顧客対応といったプロセスをBPaaSサービスに委託することで、自社のリソースを戦略的なコア業務に集中させることが可能です。
BPaaSという言葉は、ITリサーチ企業であるガートナー社が提唱したもので、クラウド時代の新しい業務形態として注目されています。
BPaaSの市場規模
BPaaS市場は、2024年から2036年の予測期間中に年間平均成長率(CAGR)8%で成長すると見込まれています。2024年の市場規模は約1,000億米ドルに達し、特にアジア太平洋地域が成長を牽引すると予測されています。
市場全体では、経理および財務管理のプロセスが最大40%のシェアを占めるとされています。さらに、日本市場ではクラウドコンピューティングやAI技術の導入が進む中、デジタル変革を支える重要な基盤としてBPaaSソリューションへの需要が増加しています。
BPaaSの成長は、コスト削減や業務効率化を目指す企業にとって不可欠な選択肢となるでしょう。
参考:SDKI
BPaaSが注目され始めているのはなぜ?
近年、多くの企業がIT投資を通じて経営課題の解決を目指しており、特に「業務プロセスの効率化」が重要なテーマとして挙げられています。
しかし、業務効率化を推進するには、求められるスキルが高度化しており、既存社員のスキルアップが欠かせません。とはいえ、「実践の場の提供」や「教育のための時間確保」といった施策の実現は難しく、大きな課題となっています。
そこで注目されているのがBPaaSです。BPaaSは、業務プロセスの効率化を支援するだけでなく、既存社員のスキルアップをサポートする仕組みも備えており、企業にとって非常に有効な選択肢となっています。特に、BPaaS提供企業にとっては、「既存社員のスキル向上」を包括的に支援できるサービスを提供することが重要です。
このようなサービスは、業務改善と人材育成の両立を可能にし、企業が抱える経営課題をよりスムーズに解決するための効果的な手段となります。
BPaaSの認知度はまだまだ低い
jinjer株式会社が企業の人事担当者計421名を対象に実施した「BPaaSの認知度・利用実態調査」によると、約60%の人が「全く知らない」、約21%が「聞いたことはあるが詳細を理解していない」と回答しており、BPaaSの認知度はまだ低い状態です。
一方で、約50%の企業が「現在利用している」または「今後導入を検討している」と答えており、需要の拡大が見込まれます。導入理由は「工数削減(59.2%)」や「コスト削減(54.4%)」が主で、導入企業の約80%が業務効率向上を実感しています。
今後、デジタル化が進む中で、BPaaSは効率化を求める企業にとって重要な選択肢となるでしょう。
参考:jinjer株式会社
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BPaaSは他のクラウドサービス(SaaS、PaaS、IaaS)とどう異なるのか
BPaaSは、他のクラウドサービスが提供するツールやインフラを基盤とし、特定の業務知識やワークフローを組み込むことで、企業の業務プロセス全体を最適化できる点が最大の特徴です。
これにより、単なるツールの提供に留まらず、企業の実務に直結した効果を発揮します。
SaaS、PaaS、IaaSの特徴とBPaaSとの関係
サービス | 主な特徴 | BPaaSとの関係 |
---|---|---|
SaaS | ソフトウェアをクラウドを通じて提供するモデル。メールサービス、CRM、ERPなど、特定のアプリケーション単位で利用可能。主に業務支援用のツールとして活用される。 | BPaaSのツールとして活用される。 |
PaaS | 開発者向けにアプリケーションの構築やデザインを行うプラットフォームを提供。開発環境やミドルウェアの提供を通じて運用を効率化するが、業務プロセスそのものの提供は含まない。 | プロセスのカスタマイズや拡張に利用される。 |
IaaS | ネットワーク、ストレージ、サーバーなどの基盤をクラウド経由で提供。物理リソースや仮想環境を提供するが、上位のアプリケーションや業務プロセスはユーザーが管理。 | プロセスの運用基盤を構成する。 |
BPaaSとBPOとの違い
BPaaSとBPOは、どちらも企業の業務効率化を目的としていますが、その提供方法や特徴に大きな違いがあります。
項目 | BPaaS | BPO |
---|---|---|
目的 | 業務プロセスの自動化・効率化を通じて、持続的なコスト削減と業務最適化を目指す。 | 外部業者に業務を委託して、短期的な負担軽減や専門性の高い業務対応を実現する。 |
提供方法 | クラウドベースでビジネスプロセスを提供。給与計算や請求管理などのプロセスを自動化。 | 人材を活用して業務を外部に委託。カスタマーサポートやデータ入力などの業務を人が対応。 |
技術の活用 | RPA、AI-OCR、iPaaSなどの自動化ツールを活用し、自動化・効率化を実現。 | 主に人的リソースを活用し、効率化は外部業者の運用次第。 |
メリット | 自動化により、スケーラビリティが高くコスト削減が可能。業務の透明性が向上し、迅速な対応が可能。 | 外部の専門知識やスキルを活用できる。自社リソースをコア業務に集中させることが可能。 |
適用範囲 | 業務プロセス全体の設計や運用をカバー。システムやツールを活用して自社運用の基盤を構築可能。 | 特定の業務やタスクの実行を外部に委託。自社のプロセス設計や運用はカバーしない。 |
BPaaSはクラウド技術を活用した最新の長期的な業務効率化手法であり、特に自動化やスケーラビリティに優れ、継続的な効率向上が期待されます。
一方、BPOは人材に依存した短期的な負担軽減に適した外部委託手法であり、人的対応が必要な業務に適しています。企業の目的や課題に応じて、これらを適切に使い分けることが重要です。
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BPaaSが活用される代表的な業務
BPaaS(Business Process as a Service)は、業務の効率化と自動化を目指し、多くの企業で活用されています。製造業の受発注業務や経理部門の請求書処理、人事部門の管理業務など、定型的なプロセスで特に効果を発揮します。
また、自動化ツールに不慣れな企業でも、BPaaSであれば専任担当者による設定や運用代行が可能なため、スムーズな導入が実現します。
これにより、手作業やヒューマンエラーを削減し、従業員がコア業務に集中できる環境を構築します。以下に、代表的な活用事例をご紹介します。
製造業の受発注業務
受発注業務では、システムからのデータダウンロードやデータの転記・登録といった作業が頻繁に発生します。さらに、注文書などの書類を処理する量も多く、手作業では時間がかかる上、ヒューマンエラーが起こりやすいという課題があります。
BPaaSを導入することで、各種ツールと専任人材による業務プロセスの自動化が可能になります。RPAによって受発注システムからのデータ抽出や自動転記・登録が可能となり、手動で行っていた多くの作業を効率化できます。また、AI-OCRによって注文書や関連書類を自動で読み取り、CSV形式に変換することが可能です。
これにより、手作業が大幅に削減されるだけでなく、ヒューマンエラーも防止できます。業務効率が飛躍的に向上し、担当者はより付加価値の高い業務に注力できるようになります。
BPaaS導入後の受発注業務プロセスイメージ
経理部門の請求書処理業務
請求書処理業務では、データの確認や転記作業が多く、時間がかかる上にミスが発生しやすいといった課題があります。こうした問題を解決するために、BPaaSの活用が効果的です。
AI-OCRを使えば、請求書のデータを自動で読み取り、必要な情報を抽出できます。また、iPaaSが異なるシステム間のデータ連携をスムーズに行い、フォルダ整理やデータ加工も自動化します。さらに、RPAがそのデータを会計やERPシステムに登録することで、処理全体を効率的に進められるようになります。
BPaaSでは、これらの業務プロセスを専任人材に任せる事ができます。
これにより、作業時間が大幅に短縮されるだけでなく、ミスも防げるようになります。さらに、書類管理の負担が減るため、経理担当者はより重要な業務に専念できるようになります。
BPaaS導入後の請求書処理業務プロセスイメージ
人事の管理業務
人事評価シートの作成・送付業務では、複数のシステムからデータを取り出し、エクセルシートに入力してPDFに変換し、メールで送信するという多くの手作業が発生します。このような作業は時間がかかるだけでなく、ミスが起こりやすいという課題があります。
BPaaSを導入すれば、これらの作業をツールと専任人材によって自動化することが可能です。RPAがシステムから必要なデータを収集し、自動的に評価シートを作成。さらに、シートをPDF形式に変換し、ファイル名のリネームや一斉メール送信までをスムーズに行います。
これにより、作業時間を大幅に短縮し、転記ミスや送信ミスなどのヒューマンエラーを防ぐことができます。担当者は煩雑な作業から解放され、より戦略的な業務に集中できるようになります。結果として、人事部門の生産性が大きく向上し、評価プロセス全体の質も高まります。
BPaaS導入後の人事評価シートの作成・送付業務プロセスイメージ
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BizteX BPaaSは業務改善からDX人材の育成までサポート
BizteX BPaaSは、RPA、iPaaS、AI-OCRといった自動化ツールを活用し、業務の自動化だけでなく、業務プロセス全体の最適化を実現するサービスです。設計から運用、保守に至るまで、専任の担当者が一貫してサポートし、DX推進に必要な人材育成も支援します。
そのため、社内にノウハウを蓄積し、自社での運用基盤の構築を促進することができます。
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BizteX BPaaSの導入メリット
BizteX BPaaSは、「柔軟な運用環境」「ノウハウとリソース」「予算に合わせたサービス」を提供し、業務プロセスの改善だけでなく、コスト削減や既存社員のスキルアップも実現します。
これにより、経営者は高額な人件コストを抑えつつ生産性を向上でき、社員は過度な負担なく業務効率を改善可能です。その結果、顧客満足度と従業員満足度の双方を向上させ、企業全体の成長を後押しします。柔軟で費用対効果の高いソリューションを求める企業に最適です。
BizteX BPaaSの事例
BizteX BPaaSは、製造業界の企業で広く導入されており、その中でも活用頻度の高い受発注業務の自動化事例をご紹介します。
製造業界の受発注業務をBizteX BPaaSで自動化した図
この企業では、従来、ガルーンからダウンロードした受注伝票の仕分け、印刷、ERPシステムへの入力といった一連の作業を、外注制作のRPAで自動化していました。
しかし、コスト削減と業務内製化の方針転換に伴い、RPAの運用を自社で行う必要が生じました。以前利用していたRPAは操作が複雑で、制作を外注せざるを得ない状況だったほか、年々高騰するサポート費用が大きな負担となっていました。
そこで、より直感的な操作が可能な「BizteX robop」を導入し、トライアルを実施したところ、現場からの高い評価を得て、本格導入が決まりました。BizteX BPaaSのサポート体制も活用し、スムーズなRPA移行と社員教育を実現。これにより、社内にRPAに関するノウハウが蓄積され、内製化が大幅に加速しました。
BizteX BPaaSの利用効果イメージ
BizteX BPaaSは、iPaaSを基盤にRPAやAI-OCRといった自動化技術を組み合わせることで、業務プロセス全体の最適化と効率化を通常の2倍以上のスピードで実現します。従来のプロセスでは、業務定義から運用までに約2〜3か月かかるところ、BizteX BPaaSを活用すればその期間を0.5〜1か月に短縮可能です。
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BizteX BPaaSのQ&A
BizteX BPaaSに関するよくある疑問を、わかりやすくまとめました。この他のご質問については、お気軽にお問い合わせフォームからご連絡ください。
BizteX BPaaSとBPaaSはどう違うの?
一般的なBPaaSは、クラウドサービスを基盤とし、特定の業務知識やワークフローを組み込むことで、企業の業務プロセスの一部または全体を最適化します。一方、BizteX BPaaSは、これに加えて社内のノウハウをしっかりと蓄積し、自社で運用できる基盤の構築までサポートします。
さらに、DX人材の育成を通じて既存の社員がスキルアップできる仕組みも用意されており、企業の成長を力強く支えるのが大きな特徴です。
課題はあるけどどの業務から効率化すればいいかわからない
BizteX BPaaSでは、専任の担当者が貴社の業務をじっくりヒアリングし、最適な業務プロセスの設計から、将来的な内製化まで丁寧にサポートします。
また、タスクマイニングツールを無料で提供しており、10問の簡単な質問に答えるだけで業務の課題を明確にすることができます。どの業務から効率化を始めればよいか悩んでいる場合でも、具体的な改善策を見つけられる仕組みが整っています。
BizteX BPaaSはどんな企業におすすめ?
BizteX BPaaSは、単に業務効率化を目指すだけでなく、長期的に社内DXを推進できる人材を育てたい企業に特におすすめです。
専任の担当者が業務改善を進めながら、同時に社員のスキルアップをサポートするため、外部委託への依存の心配はありません。これにより、効率化の成果を持続可能な形で社内に定着させることができます。
BizteX BPaaSにはデメリットや注意点はないの?
BPOのように完全に常駐して支援するスタイルではないため、勤務体系を統一したい場合には不向きな部分もあります。また、契約範囲外の業務については対応が難しいため、事前に対応範囲をしっかり確認しましょう。
まとめ
BPaaSは、クラウド技術を活用して業務効率化やコスト削減を実現する革新的なソリューションです。本記事で解説した基本概念や活用事例を参考にすることで、自社の課題解決に活用するイメージが具体化できるはずです。
特に、BizteX BPaaSは、自動化ツールと専門的なサポートを組み合わせることで、業務改善だけでなく、DX推進までを包括的に支援します。効率化にとどまらず、企業の成長を見据えた頼れる選択肢として、ぜひ導入をご検討ください。
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