多くの企業で導入が進むiPaaS(Integration Platform as a Service)は、SaaS連携や業務自動化の土台として注目されています。しかし、「連携はできても業務が定着しない」「改善が属人化して続かない」といった課題も多く見られます。
この記事では、主要iPaaS製品の比較ポイントを整理しつつ、業務設計から運用・改善までを一貫して担うIPO(インテリジェント・プロセス・オーケストレーション)ソリューションとしての「インテリジェント フロー」も紹介します。
iPaaSとは?業務連携の課題を解決するクラウド基盤
iPaaS(Integration Platform as a Service)は、複数のクラウドサービスや業務アプリケーションを連携させるための基盤です。従来のオンプレミス中心のEAI(Enterprise Application Integration)とは異なり、クラウドネイティブな仕組みにより、ノーコード・ローコードでの連携が可能になりました。
SaaS活用が一般化する中で、「バラバラなシステム間のデータ連携」「業務の自動化ニーズ」に応える形でiPaaSの導入が進んでいます。一方で、ツールを導入すればすぐに業務が効率化するわけではなく、どのようにフローを設計し、運用・改善していくかが重要な課題となっています。
iPaaS製品を選ぶための4つの比較ポイント
iPaaSを導入する際は、「つなげる」だけでなく「どう運用して成果につなげるか」を見据えた選定が重要です。とくに以下の4点は、情シス部門や業務責任者が失敗しないために押さえておきたい比較基準です。
対応アプリ・SaaSの種類
製品ごとに対応しているSaaSやAPIの範囲は異なります。
現在使っている業務ツール(例:Google Workspace、Salesforce、kintone、freee、Slack など)に対応しているかだけでなく、将来的に導入予定のツールとの連携性も視野に入れて選定することが重要です。
また、「トリガー・アクションの対応粒度」「Webhook対応の有無」なども実運用で大きな違いが出るポイントです。
ノーコードUIと操作性
ノーコードで誰でも操作できると謳う製品は多いですが、実際のUIが“業務部門でも運用できるレベル”かどうかは見極めが必要です。
たとえば「変数や条件分岐の概念がわかりやすいか」「エラーログの内容が理解できるか」など、日常的にメンテナンスができるUI設計かどうかを、トライアル段階で確認しましょう。
価格体系とスケーラビリティ
iPaaS製品の価格は、「接続先の数」「連携フローの数」「APIリクエスト数」などで変動するケースが多く、実際の業務規模に応じたコスト試算が欠かせません。
また、スタート時は数万円でも、利用が拡大すると急激に課金が跳ね上がるケースもあります。スモールスタートと将来拡張の両立ができるかどうかも、長期利用を見据えた選定ポイントです。
導入・運用支援体制(サポートの有無)
どんなに機能が優れていても、導入・運用フェーズで孤立すると定着しません。製品選定時には、以下のような運用支援の有無を確認しましょう。
- 日本語のテクニカルサポート対応(平日のみ or 24時間)
- 導入支援メニューの有無(構築支援、業務ヒアリング)
- ユーザーコミュニティ・ナレッジベースの充実度
- 「業務の設計そのものまで相談できるかどうか」
「業務の設計そのものまで相談できるかどうか」は、iPaaSでは対応できない部分であり、このあと比較する各製品にも共通する“運用の壁”です。
こうした課題をどう補うかは、製品比較のあとで解説するIPOソリューションが担う領域でもあります。
>>インテリジェント・プロセス・オーケストレーション(IPO)とは?
代表的なiPaaS製品12選【比較表あり】
以下では、主要なiPaaS製品12種の比較ポイントを整理しました。自社にとって必要な機能や支援体制を見極める際の参考にしてください。
なお、「iPaaSで連携はできるが業務は回らない」と感じる方には、後半で紹介する業務設計から運用・改善まで任せられるIPOソリューション(インテリジェント フロー)もぜひご覧ください。
製品名 | 日本製/海外製 | 特徴 |
---|---|---|
BizteX Connect | 日本製 | シナリオ作成が簡単で国産SaaS連携のテンプレート多数。RPAとの連携も。 |
DataSpider Servista | 日本製 | プログラミング不要でデータ統合が簡単。大容量データの高速処理が可能。 |
ActRecipe | 日本製 | ノーコードで簡単にデータ連携。国内SaaSに柔軟対応。 |
Yoom | 日本製 | エンタープライズ向け。直感的な操作性と高いセキュリティ性。 |
Anyflow Embed | 日本製 | SaaS事業者向け。API連携が簡単に実現しランニングコスト削減に有効。 |
Informatica | 海外製 | マルチクラウド対応。AIと機械学習を活用したデータ管理。 |
Zapier | 海外製 | ノーコードでワークフロー自動化。多彩な料金プランあり。 |
IFTTT | 海外製 | 条件設定で自動化が簡単。多様なアプリやデバイスと連携可能。 |
Boomi | 海外製 | ハイブリッド環境対応。ドラッグ&ドロップで簡単にデータ連携。 |
Workato | 海外製 | ノーコードで簡単にアプリ連携。自動化ワークフロー多数。 |
MuleSoft | 海外製 | SalesforceのAnypoint Platform。APIマネジメントが簡単。 |
Celigo | 海外製 | ローコードでスムーズな連携。ドラッグ&ドロップ操作。 |
各iPaaSについて解説します。
BizteX Connect

BizteX Connectは、シナリオ作成が数珠繋ぎでデータ連携ができるため、初めての方でも簡単に操作ができます。国産iPaaSで2,000社以上のユーザに業務自動化ツールを提供しており、国産SaaSを連携するテンプレートが多数用意しています。
またRPA「Biztex robop」も提供しており、Connectとrobopを連携させることも可能です。RPAとiPaaSを併用しやすく、ノーコード・ローコードで非IT部門でもすぐに操作を覚えられるのが特徴です。
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DataSpider Servista

DataSpider Servista(データスパイダーサービスタ)は、プログラミング不要でさまざまなアプリやシステムを連携できるローコードのiPaaSプラットフォームです。
複数のアイコンを使った直感的な操作で、簡単かつ迅速にデータ統合が可能。Javaを活用した高い処理能力により、大容量データの高速処理が実現し、作業効率の向上と業務時間の削減ができるでしょう。
ActRecipe

ActRecipe(アクトレシピ)は、ノーコード/ローコードでSaaSやFinTechのデータ連携を実現するiPaaSプラットフォームです。業務目的に合わせた「レシピ」を選ぶだけで、簡単にデータ統合と業務自動化が可能です。
国内SaaSへの柔軟な対応と手厚いサポートが強みで、企業規模を問わず幅広く利用されています。これにより、会計業務の効率化や社内IT化の促進、内部統制の強化がされるでしょう。
Yoom

Yoomは、エンタープライズ向けの日本製iPaaSプラットフォームで、直感的な操作性と高度な連携機能が特徴です。ノーコードでシステムやアプリケーションを簡単に連携でき、業務プロセスの効率化を支援します。
日本企業の複雑なニーズに対応する柔軟なカスタマイズ性と高いセキュリティ性があります。
Anyflow Embed

Anyflow Embedは、SaaS事業者向けのiPaaSソリューションで、自社プロダクトと他社SaaSとのAPI連携を迅速かつ簡単に実現します。短期間で導入でき、ノーコードでAPI連携のセットアップ画面をデザイン可能です。
Anyflow SDKを組み込むことで、ユーザーはiPaaSの購入・設定不要でAPI連携を利用できます。また、連携先SaaSのAPIアップデートやエラー対応もアウトソースでき、ランニングコストの削減にも有効です。
Informatica

Informaticaは、あらゆる環境のデータを連携・統合するデータマネジメントプラットフォームです。マルチクラウド、オンプレミス、サーバーレス環境に対応し、数百のデータソースと接続可能。AIと機械学習を活用して高品質なデータ管理を実現し、データ同士の関連性も可視化します。
ローコード・ノーコードで操作が簡単で、業務効率を大幅に向上させられるでしょう。
Zapier

Zapierは、多くのアプリをノーコードで連携し、ワークフローを自動化するiPaaSプラットフォームです。ドラッグ&ドロップの操作で簡単にSaaS間のプロセスを自動化でき、プログラミング知識は不要です。多彩な料金プランが用意されており、初期費用なしで制限内であれば無料で利用可能。
UI/UXがわかりやすく、日本ユーザーにも人気があります。主要なWebサービスやSNS、CMSとも簡単に連携でき、業務効率を大幅に向上させられるでしょう。
IFTTT

IFTTTは、条件設定により様々なサービスやデバイスを連携させるiPaaSプラットフォームです。ユーザーフレンドリーなデザインで、技術的な知識がなくても簡単に自動化を設定可能。
日常生活や業務の効率化を支援し、幅広いアプリやデバイスとの連携が強みです。個人からビジネスユーザーまで、多様なニーズに対応します。
Boomi

Boomiは、世界中の多くの企業が利用するiPaaSプラットフォームで、オンプレミスとクラウドの両方を連携するハイブリッド環境に対応しています。ローコードツールで直感的なドラッグ&ドロップ操作が可能で、迅速にデータ連携を構築できます。
多数のコネクタを提供し、SaaSと社内システムの連携も容易に実現。データサイロ化を防ぎ、効率的なデータ管理をサポートします。API作成やマスターデータ管理機能も充実しています。
Workato

Workatoは、ノーコード・ローコードで複数のアプリやサービスを簡単に連携できるiPaaSプラットフォームです。直感的なUI/UXを備え、エンジニアでなくてもワークフローの自動化が可能。
多数の自動化ワークフロー『レシピ』を提供し、コミュニティのレシピを利用して迅速に業務効率化を実現します。セキュリティも充実しており、安全なシステム運用が可能です。
MuleSoft

MuleSoftは、Salesforceが提供するAnypoint Platformを通じて、データ統合とAPIマネジメントを実現するiPaaSプラットフォームです。ノーコードでSaaS、オンプレミス型ソフトウェア、レガシーアプリケーションとの連携が可能。
充実したサポート体制により、開発時間を短縮し、APIの設計構築も迅速に行えます。高いセキュリティ機能で、外部からの攻撃を自動で監視し、ネットワークの脆弱性を低減します。
Celigo

Celigoは、ローコードのiPaaSプラットフォームで、多くのSaaSやオンプレミスシステムとのスムーズな連携が可能です。ドラッグ&ドロップ操作で簡単に統合を実現し、IT専門知識がなくても利用できます。
構築済みのビジネスフローや豊富なコネクタにより、迅速なワークフロー構築が可能。セキュリティとSLAが充実しており、安心して利用できます。オンラインヘルプセンターやコミュニティも充実し、サポート体制も万全です。
iPaaSでは限界?現場で起きがちな“定着しない問題”
iPaaSは強力な連携基盤ではあるものの、導入すればすぐに業務がスムーズに流れるわけではありません。実際の現場では以下のような課題が頻出しています。
- フローの構築が属人化し、異動や退職でブラックボックス化する
- 複数部門をまたぐ業務では、誰がどこを担当するかが曖昧になる
- 改善や保守まで見据えた“全体設計”ができておらず、手直しの連続になる
こうした実態は、BizteXが2024年に実施した調査結果からも明らかです。
以下は「iPaaSを導入しなかった理由」に関するアンケート結果で、「スキルを持った人材がいない(39.0%)」が最も多く、「コストがかかる」「上層部の理解が得られない」といった声も続いています。

また、別調査では「API連携だけでなくRPAや手作業とも連携できること」を重視する企業が約5割にのぼり、iPaaS単体では対応しきれない複雑な業務フローが実在することも浮き彫りになっています。

このように、単に「作る」だけでなく、誰がどこでどのように継続的に運用するかを含めた設計ができていないと、iPaaSは定着せず、導入効果も限定的になります。
特に中堅〜大手企業においては、単なる「データ連携」だけでなく、「業務そのもののあり方」まで見直す必要が出てきます。iPaaSだけでは乗り越えにくいこの壁をどう解決するかが、次の課題です。
業務全体を担うIPOサービス「インテリジェント フロー」とは

インテリジェント フローは、BizteXが提供するIPO(インテリジェント・プロセス・オーケストレーション)ソリューションです。単なるツール提供ではなく、業務設計・構築から運用・改善までを一貫して外部で担える点が特徴です。
中でも「インテリジェント マイニング」は、AIが既存の業務プロセスを自動で可視化・分析し、改善すべきポイントと最適なフローを提示する機能です。これにより、属人化や設計の手戻りを最小化できます。
また、導入後も「インテリジェント HUB」により業務成果を自動で可視化し、さらなる改善提案を行うことが可能です。業務改善が“回る仕組み”として、iPaaSではカバーしきれない範囲を担えるのがインテリジェント フローの強みです。
※「IPO(インテリジェント・プロセス・オーケストレーション)」の詳細については、こちらの記事で詳しく解説しています。
\AI×人の分析で、月間数百時間の削減実績も。/
まとめ|iPaaSとインテリジェント フローの違いと使い分け
iPaaSは、社内の業務アプリケーションやクラウドサービスをノーコードで連携できるツールとして、多くの企業で導入が進んでいます。自社で“つなぐ力”を持ち、業務部門が主体的に連携を構築・運用できる体制があれば、iPaaSは大きな効果を発揮します。
しかし、複数部門にまたがるフロー設計や、継続的な改善・保守まで求められるようになると、ツール単体での対応には限界があります。属人化や設計の手戻り、導入後の改善停滞といった課題が現場で顕在化しやすくなります。
そうした場合は、業務全体の設計から構築・運用・改善までを一貫して担えるIPOソリューション「インテリジェント フロー」の活用が有効です。自社の体制や業務の複雑さに応じて、iPaaSとインテリジェント フローを適切に使い分けることで、業務連携と自動化の最適解にたどり着くことができます。
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【問い合わせ】業務効率化をご検討中の方は、ぜひ一度ご相談ください
BizteX株式会社では、誰でも簡単に扱えるプログラミング不要なiPaaS『BizteX Connect』を開発・提供しています。
中小企業さまから大手企業さままで豊富な導入実績があり、万全のサポート体制によりお客さま満足度が非常に高いのが自慢です。
iPaaSや業務効率化、業務の自動化、業務改善に関すること、その他クラウドサービス(RPAやAI-OCR、受発注システム)のことなど、御社のお悩みをお聞かせください。
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