医療業界のAI導入事例|電子カルテ・画像診断・受付業務の自動化

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画像診断AIによるがん早期発見、AIが問診を補助するオンライン診療、電子カルテへの音声自動入力。医療現場でのAI活用は、大学病院から地域クリニックまで広がりつつあります。

しかし「AI導入は費用がかかる」「自院に合う事例がわからない」と感じる医療機関も少なくありません。この記事では、医療現場でのAI活用事例を5つの領域に分けて紹介するとともに、AIとは別にRPAiPaaSを活用してバックオフィス業務の負担を減らす方法についても解説します。

この記事でわかること
  • 医療AI活用の5つの領域と具体事例
  • 画像診断・電子カルテ・受付業務でのAI活用
  • 在宅診療クリニックが月50時間の書類転記業務を自動化した事例
  • AIとRPA・iPaaSの役割の違いと医療現場での使い分け
目次

医療業界でAI活用が広がる背景

医療現場でのAI活用が急加速している背景には、深刻な人材不足があります。厚生労働省の推計によると、2040年度には介護職員だけで約57万人が不足するとされており、医療・介護全体で生産性向上が急務の課題となっています。高齢化に伴う患者数の増加と、それに見合うスタッフの確保困難が重なり、AIと業務自動化への期待が高まっています。

医師の診断・治療を補助するAIから、受付・書類作成といった事務業務を自動化するツールまで、導入の目的と対象業務は多岐にわたります。大規模な先端AI投資が難しい場合でも、バックオフィス業務の自動化という入り口からDXに着手できる環境が整いつつあります。

※ 参照:
厚生労働省「介護人材確保に向けた取組について」
厚生労働省「保健医療分野におけるAI開発の方向性」

医療現場でのAI活用5つの領域

医療AIの活用は、診療・検査領域からバックオフィス支援まで幅広く広がっています。代表的な5つの領域ごとに、現場での活用状況を整理します。

画像診断支援AIの活用事例

医療AIの中で最も実用化が進んでいる領域が画像診断支援です。CTやMRIの読影業務に深層学習を組み合わせることで、医師が見落とす可能性のある微細な変化を補助する仕組みが普及しつつあります。

具体的な活用事例は次のとおりです。

  • 大腸内視鏡でのポリープ候補検出:内視鏡映像をリアルタイムで解析し、ポリープ疑いの部位を医師に通知します。国立がん研究センターの共同研究では正診率97%・感度97.7%を達成しています
  • MRI・CT読影補助:夜間・繁忙期の緊急読影でAIが一次評価を担い、医師の業務負担を分散します
  • 胸部X線の異常検出スクリーニング:AIがスクリーニングを行い、専門医への振り分けを効率化します

画像診断AIは医師の意思決定を支援するツールとして定着しており、最終判断は医師が行う前提で、診断の見落とし防止と業務効率化の両立を目指す運用が広まっています。

※ 参照:厚生労働省「保健医療分野におけるAI開発の方向性」 
※ 参照:国立がん研究センター「大腸ポリープを検出するAI生成のためのデータ自動収集システムの構築に成功」

電子カルテへのAI活用事例

電子カルテの普及とともに、カルテ入力・管理へのAI活用が進んでいます。診察中の入力負担を減らし、医師が患者との対話に集中できる環境を作ることが主な目的です。

  • 音声入力によるカルテ自動記録:診察中の音声を自動でテキスト化し、カルテへの入力時間を大幅に短縮します
  • 問診票データのカルテ自動連携:患者のオンライン問診票情報を電子カルテへ自動取り込みし、手入力と入力ミスをなくします
  • レセプト記載補助:診察内容から診療報酬請求コードをAIが提案し、月次レセプト業務の工数を削減します

電子カルテへのAI組み込みは、診療所・クリニック規模でも対応できる製品が増えており、規模を問わず導入が広がっています。

※ 参照:エムスリーデジカル「AI搭載の電子カルテ6選|機能・選び方の解説」

受付・問診業務のAI活用事例

患者接点のデジタル化として、受付・問診業務にもAI活用が進んでいます。

  • AIによる症状検索・受診科案内:患者が症状を入力すると受診すべき科をAIが案内します。国内では「ユビー」などが広く使われています
  • オンライン問診票の自動送付・回収:問診票の送付・回収・集計を自動化し、受付スタッフの事前準備業務を削減します
  • チャットボットによる24時間対応:受付時間外の問い合わせに自動応答し、予約確認・変更・よくある質問に対応します

※ 参照:Ubie公式サイト

在宅医療・訪問診療でのAI活用事例

在宅医療・訪問診療の現場でも、AIによる業務支援が広がっています。

  • バイタルデータのリモートAI分析:自宅のIoTデバイスで体温・血圧・脈拍などを継続取得し、AIが異常値を検知すると担当者へ自動通知します
  • 音声認識による訪問記録支援:訪問後の診療記録を音声入力し、AIが自動でテキスト化します。書き起こし時間を削減しながら記録品質を維持できます
  • AIによる訪問スケジュール最適化:利用者の状態・スタッフのスキル・移動距離をAIが統合判断し、最適な訪問スケジュールを自動作成します。月間1.3兆通りを超える組み合わせをAIが処理し、管理者の調整工数を大幅に削減します

なお、在宅医療の現場では書類へのデータ転記・システム間の転送といった定型業務の負担も大きく、こうした業務にはRPAが有効です。AIでも文字認識や入力業務を代替できる場合がありますが、患者情報を扱う転記処理では正確性・安定性が特に求められるため、定義した手順を100%の精度で繰り返すRPAが選ばれています。具体的な事例と活用方法は後述します。

※ 参照:株式会社eWeLL「AI訪問予定・ルート」プレスリリース(PR TIMES)

医薬品開発・創薬でのAI活用事例

創薬分野では、AIを活用した医薬品候補の探索・最適化が実用段階に入っています。

  • タンパク質構造予測AIによる創薬加速:ゲノム情報からタンパク質構造を予測するAI(AlphaFold等)が、新薬の標的探索と化合物設計を効率化しています。従来数年かかっていた解析がAIにより大幅に短縮されました
  • ゲノム情報を用いた個別化医療:患者のゲノムデータを解析し、がん治療を個人ごとに最適化します
  • 臨床試験へのAI活用:治験文書の作成支援・成功予測・被験者スクリーニングなど、臨床開発プロセス全体でのAI活用が製薬業界で本格化しています

この領域は主に製薬会社・研究機関が対象であり、一般的な医療機関への直接導入は限定的ですが、実用化された治療法を通じて現場への恩恵が広がっています。

※ 参照:日本製薬工業協会「臨床開発におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の現状と可能性」

AI導入のメリットと注意点

医療現場にAIを導入することで、業務効率化と医療品質向上の両面でメリットが得られます。一方で、医療特有の注意点もあるため、導入前に把握しておくことが重要です。

医療現場でのAI活用によるメリット

医療現場にAIを導入することで、次のようなメリットが期待できます。

  • 医師・スタッフの業務負担軽減:診断支援AIや書類自動化により、本来の診療・ケアに充てる時間が増えます。
  • 診断の精度補助と見落とし防止:特に夜間・繁忙期に医師の補助として機能し、ヒューマンエラーのリスクを下げます。
  • 患者の待ち時間短縮:受付・問診業務の自動化により、患者が院内で待機する時間を短縮できます。

AI導入の注意点

一方で、次の点に注意が必要です。

  • AI診断の責任の所在:AI診断は医師の判断を補助するものであり、最終的な診断責任は医師が持ちます。AIの出力をそのまま治療判断に使用しない運用設計が必要です。
  • 患者情報のセキュリティ管理:電子カルテや問診データはセンシティブな個人情報です。クラウド活用時はセキュリティ基準と契約要件を事前に確認してください。
  • 学習データの質と偏り:AIは学習データに依存します。日本人患者のデータで学習されたAIかどうかを確認することが、診断精度を担保するうえで重要です。

AI導入が難しい場合はRPA・iPaaSで自動化する

大規模な画像診断AIや電子カルテの刷新は、中小クリニックには費用・リソースの面でハードルが高い場合があります。一方、定型帳票へのデータ転記・システム間の情報連携といったバックオフィス業務は、RPAとiPaaSが強みを発揮する領域です。

「生成AIが進化した今、転記や入力業務もAIで代替できるのでは」という疑問は自然です。実際、AIで文字認識や入力処理を代替できるケースも増えています。それでも医療現場でRPAが導入されているのは、以下のような理由があります。

  • 再現性・安定性:RPAは定義した手順を100%の精度で繰り返します。患者情報や請求データの転記でミスが起きると医療ケアや財務処理に直接影響するため、確実な正確性が求められます。
  • ハルシネーションリスクがない:生成AIはまれに事実と異なる内容を生成(ハルシネーション)することがあります。医療記録や診療報酬コードの転記でこれが起きると、実務上の深刻な問題につながります。
  • AIの能力を本来の強みに集中:画像診断・音声認識・問診補助など、判断・推論が必要な仕事にAIを集中させることで投資対効果が最大化します。確実性が求められる定型入力はRPAに任せることで、それぞれが得意領域で最大の力を発揮できます。

AIとRPAは競合するものではなく、担当する業務の性質が異なる補完関係にあります。医療現場での役割を整理すると、次のようになります。

ツール得意な業務医療現場での活用例 
AI判断・検知・分類・予測画像診断支援、音声テキスト化、問診補助
RPA定型の手順を自動繰り返し管理システムのデータを書類テンプレートへ転記、システム間のデータ入力
iPaaSクラウドシステム間のAPI連携問診票→電子カルテ連携、予約システム→カルテ連携

特に次の業務は、RPAやAI-OCRを組み合わせることで自動化しやすい領域です。

業務自動化の手段期待できる効果
定型帳票へのデータ転記RPA電子カルテ・管理システムのデータを既存テンプレートへ自動転記し、手入力工数を削減
紙書類・手書き書類のデジタル化AI-OCR手入力ゼロで電子データ化
システム間のデータ連携iPaaS / RPAカルテ・請求システム間の転記を自動化
患者情報の連携・集約iPaaS問診票・予約システム・カルテ間の連携を自動化

「まずどの業務から始めるか」を決めるには、月間の作業時間が長い定型業務をリストアップし、1業務で試して効果を確認してから横展開するアプローチが現実的です。

在宅診療クリニックが月50時間の書類転記業務を自動化した事例

大規模なAI投資が難しい場合でも、RPAを使った書類関連業務の自動化は現行のシステムを変えずに始められます。

川西ほんわか訪問診療クリニック(在宅医療)

在宅医療を専門とする川西ほんわか訪問診療クリニック様では、BizteX robopを活用して訪問リスト作成と書類対応業務を自動化しました。

川西ほんわか訪問診療クリニックの書類作成業務の自動化フロー図

月600枚以上に及ぶ書類への記入はスタッフの大きな負担となっており、月約50時間が書類関連業務に費やされていました。BizteX robopの導入により、管理システムのデータを書類テンプレートへ自動で転記する仕組みを構築。スタッフは内容の確認作業のみに専念できる体制へ移行しています。

医師やスタッフが患者ケアに集中できる環境を作るため、まず「繰り返し発生するデータ転記業務」から自動化に着手したことが、現場への定着を早めたポイントです。大規模なシステム改修なしに、既存業務フローのまま自動化を実現した事例です。

RPA「BizteX robop」の導入事例をもっと見る

医療現場の業務自動化を支える「BizteX robop」と「BizteX Connect」

診療の品質向上にはAI、バックオフィスの定型業務にはRPAやiPaaSを目的に応じて使い分けることが、医療DXを現実的に進めるうえで有効なアプローチです。医療AIとRPA・iPaaSを組み合わせることで、診療の品質向上と間接業務の効率化を同時に進められます。

BizteX株式会社は、バックオフィス業務の自動化を得意とする2つのツールを提供しています。

BizteX robopの主な特徴

BizteX robop紹介画像

BizteX robopはプログラミング不要で現場担当者が操作できるデスクトップ型RPAです。川西ほんわか訪問診療クリニック様での導入実績にあるように、医療機関固有の帳票テンプレートへのデータ転記や書類対応業務の自動化に対応しています。

  • プログラミング不要の直感的な操作画面
  • 現場担当者による内製・自走体制を構築
  • 専任カスタマーサクセスによる運用定着まで伴走
  • 2週間無料トライアルあり(作成したロボットはそのまま本番利用可)

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※今ならIT導入補助金制度を利用して、最大50%OFFで導入できます

BizteX Connectの主な特徴

BizteX Connect紹介画像

BizteX ConnectはSaaS間をノーコードでAPI連携するクラウド型iPaaSです。電子カルテ・問診システム・予約管理ツール間のデータ連携や、AI-OCRで読み取った書類データの自動転送などの用途に対応しています。ChatGPTやGeminiとのAPI連携も可能なため、患者さんからの一次問い合わせ内容の要約や回答案の自動作成など、生成AIを業務に組み込む活用もできます。

  • ノーコードでSaaS間のデータ連携を構築
  • AI-OCRや各種SaaSとの連携実績多数
  • ChatGPT・Geminiとのクラウド連携に対応
  • 継続率97%以上

\プログラミングゼロでAPI連携が可能/

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よくある質問(FAQ)

医療AIは大病院でなくても導入できますか?

導入できます。画像診断AIや電子カルテへのAI組み込みは大病院向けのものが中心ですが、受付・問診AIはクリニック規模でも導入可能な製品・サービスが増えています。もしくは、定型帳票へのデータ転記・システム間のデータ連携といったバックオフィス業務の自動化は、RPAやiPaaSを使えば規模を問わず着手できます。費用・リスクを抑えてDXを始める最初のステップとして有効です。

医療AIの導入費用はどのくらいですか?

用途によって大きく異なります。画像診断支援AIは初期費用・月額費用が数十万〜数百万円規模になるケースが多い一方、受付・問診AIや業務自動化ツール(RPA・iPaaS)は月額数万円から始められる製品もあります。デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)の対象製品を選べば、導入コストを抑えられる場合もあります。

※ 参照:デジタル化・AI導入補助金2026公式サイト

電子カルテとAIを連携させるのは難しいですか?

電子カルテの種類によって連携のしやすさは異なります。API公開している電子カルテであれば、iPaaSを使ったデータ連携が比較的容易です。API非対応の電子カルテでも、RPAを活用することで画面操作ベースでのデータ取得・転記が可能な場合があります。まず利用中の電子カルテベンダーに確認し、連携実績のあるツールベンダーへ相談することが最初のステップです。

在宅医療・訪問診療でも業務自動化は有効ですか?

有効です。在宅医療・訪問診療では訪問後の書類テンプレートへのデータ転記・報告業務が担当者の大きな負担になっています。管理システムのデータを書類テンプレートへ自動転記する仕組みを構築し、月約50時間を削減したクリニックの事例があるように、RPAは訪問診療のバックオフィスに特に効果を発揮しやすい領域です。AIとは目的が異なるため、両方を目的に応じて使い分けることをおすすめします。

医療現場でRPAを使う際の注意点は?

医療情報のセキュリティ基準への準拠が最重要です。患者情報を扱う自動化フローでは、アクセス権限の設定・ログ管理・データ暗号化の3点を必ず確認してください。また、自動化した業務でエラーが発生した場合の検知・通知の仕組みを最初から設けておくと、問題の早期発見につながります。

まとめ

医療業界でのAI活用は、大学病院での画像診断支援から地域クリニックの受付・問診支援まで、幅広い規模・目的で広がっています。

  • 画像診断AI:CT・MRIの読影補助・ポリープ検出で診断精度を向上
  • 電子カルテAI:音声入力・問診連携で医師の記録業務を削減
  • 受付・問診AI:症状検索・オンライン問診で患者対応を効率化
  • 在宅医療のAI:バイタルモニタリング・音声認識・スケジュール最適化で訪問業務を支援
  • 創薬AI:ゲノム解析・化合物探索で新薬開発を加速

大規模なAI投資が難しい場合でも、定型帳票へのデータ転記・システム間のデータ連携といったバックオフィス業務は、RPAとiPaaSで自動化できます。AIとRPA・iPaaSは役割が異なるため、目的に応じて組み合わせることが重要です。まずどの業務に時間がかかっているかを棚卸しし、1業務での試験導入から始めることをおすすめします。

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この記事を書いた人

DX hacker編集部 瀧澤のアバター DX hacker編集部 瀧澤 マーケティング部オウンドメディア担当

DX hacker編集部の瀧澤が不定期で更新します。
業務自動化・DX推進に役立つ最新情報を、30,000件以上の支援実績をもとにわかりやすく発信中。
「インテリジェント フロー」や「BizteX robop」「BizteX Connect」などの業務最適化サービスも紹介しています。

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