「クロスプラットフォームとは何か?」──DXが進む今、RPAやSaaSを導入しても業務の“繋がらなさ”に悩む企業が増えています。
本記事では、クロスプラットフォーム統合の定義とその必要性、そして業務全体の最適化を実現する新しい業務改善手法「IPO」(※)について詳しく解説します。
※IPO=インテリジェント・プロセス・オーケストレーション
クロスプラットフォームとは(業務プロセスにおける定義)
クロスプラットフォームとは、異なる環境やシステムをまたいで機能を連携させる仕組みを指します。
一般的には、iOSやAndroid、Windowsといった複数のOSで同じアプリケーションを動かす技術的文脈で使われますが、業務プロセスの最適化という観点では「複数の業務システムやクラウドサービスを繋げて、一貫した処理を実現する仕組み」を意味します。
DXが進む現在、SaaSや業務アプリが急増し、部門や用途ごとに導入されてきた結果、社内の業務フローはかえって分断されやすくなっています。
この“繋がらない”課題に対し、注目されているのが「クロスプラットフォーム統合」という考え方です。
業務プロセスにおけるクロスプラットフォーム統合とは
クロスプラットフォーム統合とは、複数の業務アプリケーションやクラウドサービス、社内システムなどを相互に接続し、情報や処理を一貫して連携させる業務設計のことを指します。
各ツールがバラバラに動作する状態では、手作業による転記や確認作業が発生しやすく、ミスや遅延の温床になります。クロスプラットフォーム統合の目的は、こうしたツール間の“壁”を取り払い、業務全体をシームレスに動かすことにあります。
ツールを増やすのではなく、“業務をどう動かすか”という視点で再設計する──これが、業務DXを成功させる鍵になります。
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なぜ今、クロスプラットフォーム統合が重要なのか
クラウドツールの導入が進む一方、「ツールはあるのに効率化できない」と感じる企業が増えています。その多くは、ツール同士が繋がっておらず、業務全体が分断されていることが原因です。こうした分断を放置すると、最適化は困難になります。
今こそ業務全体を見直すクロスプラットフォーム統合の視点が求められています。
SaaSの普及とともに浮かび上がる3つの構造的課題
近年、多様なSaaSが登場したことで、企業では業務ごとに複数のツールを導入するケースが一般化しています。しかし、それがかえって業務の複雑化や非効率化を招く要因になることも少なくありません。
- 業務データが分断され、フローが停滞する
各ツールが独立して動作していると、部門ごとに情報が閉じ、横断的なデータ連携が難しくなります。その結果、確認作業の増加や入力ミス、属人化が起きやすく、業務全体の流れが滞ってしまいます。
- SaaSの汎用性と、個別業務への“非適合”
多くのSaaSは標準化された仕様であるため、自社の業務プロセスに合わないこともあります。カスタマイズが制限される中で、ツールに業務を合わせざるを得ず、かえって効率が落ちるといった事態も発生します。
- 管理コストと運用負担の増加
導入しやすさが特徴のSaaSですが、複数契約が重なると月額費用がかさみます。また、管理対象が増えることでIT部門への負荷が増大し、運用・保守が煩雑になることも大きな課題です。
このような背景から、単なるツールの導入や“機能的な連携”ではなく、業務全体を再設計する視点=クロスプラットフォーム統合の考え方が求められているのです。
連携手法を選択するだけでは不十分な理由
業務の自動化やシステム連携において、iPaaS・RPAといったツールは有効です。
しかし、それだけでは業務全体の最適化にはつながりません。業務の流れを“面”として設計・統合する視点がなければ、部分最適にとどまり、継続的な改善や再現性ある効率化は実現できないのです。
導入は進んだが、運用に壁。調査が示す“現実”
実際に、BizteXが2024年に実施した調査でも、ツール導入後の“運用の壁”が顕在化しています。
- RPAを導入した企業のうち、39.0%が「習得に時間がかかり、運用が進まなかった」と回答
- iPaaSに関しても、39.0%が「スキルを持つ人材がいない」ことを理由に導入を断念

【調査レポート】理想のワークフローを実現する「iPaaS」導入のポイントとは?
このように、ツールを“導入するだけ”では、十分な効果を得ることが難しい状況が明らかになっています。
さらに、「RPAを導入しやすくするためにはどのような支援が必要か?」という問いに対しても、以下のような運用面での外部支援ニーズが多数挙げられました。
- リモートでの操作代行
- 短期習得プログラム
- レクチャー形式のトレーニング支援 など
これらの結果は、単にツールを導入するだけでは不十分であり、「設計・導入・運用・改善」までを一貫して支援できる体制や枠組みが求められていることを示唆しています。
連携設計には高度な要件定義が求められる
こうした「運用が進まない」「人材がいない」という課題の根底には、システム連携をスムーズに実現するための要件設計が不十分であるという問題があります。
連携を設計・運用する際には、次の3つの観点で事前に定義しておくべき要素が数多く存在します。
- 連携方式(API/バッチ/ETLなど)の適切な選定
- データ処理速度や容量に関するパフォーマンス要件
- エラー発生時のハンドリング設計(通知・再試行)
- セキュリティ・アクセス制御の設計
- ログ取得・監視機能の整備による可視化と保守性の確保
- データ連携の頻度・タイミングと業務のリアルタイム性の整合
- 現場フローに適合した運用手順の設計
- 運用担当者の負担軽減と属人化防止策の導入
- 障害時の対応フロー整備と復旧手順の明確化
- 定期メンテナンスやバージョン管理を考慮した運用設計
- クラウド/オンプレミス/ハイブリッドなど最適な基盤選定
- 通信帯域や可用性、冗長化設計などのインフラ要件
- バックアップ・リカバリー体制の整備
- 既存システムとの互換性確認および技術的課題の整理
要件が不十分なままでは、ツール同士が連携していても、業務の拡大や繁忙期に連携が破綻しやすく、原因特定にも手間がかかります。スムーズな運用には、あらかじめ適切な要件を定義しておくことが不可欠です。
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クロスプラットフォーム統合を含む業務改善の新しい枠組み「IPO」とは
これまで見てきたように、ツール単体の導入や操作支援だけでは、業務全体の最適化には繋がりにくいという課題が明らかになっています。
こうした背景を受けて、BizteXでは業務プロセスの設計・統合・改善までを一貫して実現できる新しい業務改善の考え方として、BizteXではインテリジェント・プロセス・オーケストレーション(IPO)という概念を提唱しています。
IPOとは何か?
IPO(Intelligent Process Orchestration)とは、企業の業務に存在する“分断”を乗り越え、部門やツールを横断して業務全体を設計・統合するという発想に基づいた業務改善の考え方です。
従来の自動化が「どの作業を効率化するか(=点の自動化)」にフォーカスしていたのに対し、IPOは「業務全体がどう流れ、どう繋がるべきか(=面としての最適化)」を重視します。
たとえば、RPAやiPaaSといったツールはそれぞれに役割を持ちますが、業務間の連携設計や例外処理、部門間の調整などまでは担えません。 IPOはそうした“全体をどう動かすか”までを見据えた業務構造の再設計を可能にする枠組みです。
IPOを構成する3つの要素

クロスプラットフォーム統合
部門・ツールをまたいで情報と処理の流れを繋ぎ、業務全体を一気通貫で動かす
プロセスインテリジェンス
AIを活用して業務プロセスを可視化・分析し、改善すべきポイントを特定する
ヒューマン・イン・ザ・ループ
AIだけで判断できないケースでは、人の知識や判断を取り入れ、柔軟性を担保する
IPOは、断片的な自動化ではなく、業務の流れ全体を「見える化」し、「設計し直し」、「最適化する」ための土台となります。
IPOについては下記記事でより詳しく解説しています
>>インテリジェント・プロセス・オーケストレーション(IPO)とは?
>>RPAとIPOの違いとは?現場負担のない業務プロセス最適化
>>iPaaSとIPOの違いとは?「この連携、誰がつくるの?」からの脱却法
クロスプラットフォーム統合を実現するサービス「インテリジェント フロー」
このIPOの考え方を、企業の現場で実践可能な形に落とし込んだのが、BizteXが提供する業務改善サービス「インテリジェント フロー」です。

インテリジェント フローは、業務プロセス全体を“どう設計し、どう動かすか”という視点で見直し、RPA・iPaaS・AI・OCRなど複数のテクノロジーと専門知見を組み合わせて、業務の設計・構築・運用・保守を一貫して担うのが特長です。
インテリジェント フローには、以下の3つの主要機能があります。
インテリジェント マイニング
AIと人の知見を活用して業務プロセスを分析し、改善余地と費用対効果を可視化
インテリジェント オーケストレーション
テンプレートと柔軟な設計で、業務全体を繋ぐ自動化フローを構築・実行
インテリジェント HUB
導入後の効果測定、改善提案、運用モニタリングを自動で実施
導入企業は、現場の操作や判断に依存せず、“相談するだけ”で業務の設計から自動化・改善までを一任できます。これにより、部門をまたぐ複雑な業務でも、高い再現性とスピードで業務全体の最適化が可能になります。
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>>インテリジェント フローとは?
>>インテリジェント フローで業務改善が加速する5つの理由と導入効果
まとめ|連携から統合へ。業務全体を動かす新しい発想
クロスプラットフォーム統合は、単なるシステム同士の連携ではなく、分断された業務を再び“繋ぎ直す”ための設計視点です。部門ごとに孤立したツールやフローを横断的に再構築し、業務全体を一貫した流れに整えることで、真の業務効率化を実現します。
ただし、ツールを繋ぐだけでは業務全体の設計や改善までを担うことはできません。そこで必要になるのが、業務を“どう動かすか”という観点でプロセス全体を構造的に最適化する考え方=IPO(インテリジェント・プロセス・オーケストレーション)です。
IPOは、クロスプラットフォーム統合を中核に据えつつ、以下の要素を組み合わせることで、持続的かつ実行可能な業務改善を実現します。
- プロセスインテリジェンス:業務の可視化と定量分析によって、改善インパクトの高いポイントを特定
- ヒューマン・イン・ザ・ループ:AIでは難しい判断や例外処理に人の知見を取り入れる柔軟な設計
そして、この考え方を現場に導入可能な形で提供しているのが「インテリジェント フロー」です。
複雑化する業務環境の中でも、全体を見渡し、部門やツールを超えて“動かせる仕組み”を持つことが、これからの業務改善には欠かせません。
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>>プロセスインテリジェンスとは?業務可視化を超えた改善アプローチ
>>ヒューマンインザループとは?人とAIの役割分担で業務自動化を最適化