「働き方改革」や「生産性向上」、「DX」などに関するキーワードとして注目を集めているRPA。
とはいえ、
- そもそもRPAってなに?
- RPAにはどんな効果があるの?
というように、実際にどういうものか知らない方も多いはず。
そこで本記事では、「RPAとはなにか」という基本的な知識を、図解を用いながら分かりやすく解説します。
RPAの基礎を網羅的に学べるので、ぜひご一読ください。
目次
RPAとは?図解でわかりやすく簡単に説明!

RPA(Robotic Process Automation)とは、簡単にいうと「人間の代わりに業務をこなしてくれる自動化ツール」のことです。
・決まった手順の定型業務
・繰り返し行うルーティンワーク
などの自動化が得意で、主にPC上で行う事務作業の分野で導入が進んでいます。
▼RPAの活用例
・交通費精算、請求書データの入力、問い合わせ内容の転記
・ターゲットリスト作成、SFA入力、広告レポート作成
・顧客データ収集、在庫状況の確認、商品情報の更新
・新入社員・新規職者のアカウント登録
・伝票入力、支払対応の実行、反社チェック など
業務をこなすソフトウェアは通称「ロボット」といわれ、業界や業務に関わらず、さまざまなパターンのロボットを作成可能です。
これによって作業時間を短縮したり、ヒューマンエラーを削減したりなどの生産性向上が期待できます。
また、RPAが求められている理由としては大きく3つの特徴があります。

【RPAの特徴①】簡単作成
RPAはシステムの構築が不要で、一からプログラミングをする必要がありません。
チャートやステップを用いることで、ユーザー自身で簡単にロボットの作成・修正ができます。
この「作成や修正が容易」というのが非常に重要で、例えば伝票入力の業務でも、
・新しい伝票に変更したい
・追加で入力したい項目が増えた
などのように、変更が必要なケースは数多く発生します。
RPAなら自分でロボットをすぐに修正できるので、変化に対して柔軟かつスピーディに対応可能です。
【RPAの特徴②】幅広い対応
Webサイトやシステムなど、ツールをまたがった業務にRPAは幅広く対応可能です。
例えば、WebブラウザとExcelを連携できるので、
①SFAに入力されたデータをロボットが取得
②Excelに最新のデータを記載
などのような動きが可能です。
これまで手作業でやる場合は、
①SFAにログイン
②必要なデータをコピー
③Excelを開く
④出力したい特定セルをクリック&ペースト
という操作が必要でした。
ですが、RPAならこれらの作業をまるっとロボットが覚えて、次から自動で実行してくれます。
【RPAの特徴③】24時間365日稼働
RPAは人と違って、24時間365日稼働できます。
そのため、
・毎日決まった時間にデータを取りにいく
・夜遅い時間でも正確に決められたタスクを実行する
などのような対応が可能です。
また、発注の処理や広告レポートの数値取得など、手作業で毎日行うには大変な業務を、時間や曜日にとらわれずに行うことができます。
RPAが注目される理由・背景

RPAの導入数は、年々増加しています。
「年商50億円以上の国内企業1,021社」のRPA利用動向を調査すると、
- 2019年11月時点で「全体の導入率」は38%(大手企業に絞ると51%)
- 2018年6月の「全体の導入率」は22%で、約1年半で16%も成長
という結果になりました。
このようにRPAの導入が加速している理由は、主に3つあります。
1. 人手不足の改善
2. 働き方改革の実現
3. 競争力の強化
一つ一つ説明していきます。
【RPA導入の理由①】人手不足の改善
日本では少子化が進み、働き手が少なくなって多くの企業は「人手不足」に悩んでいます。
そこで頼りになるのがRPAです。人間と違って24時間365日働けるので、デジタルレイバー(仮想知的労働者)として人手不足の改善に役立ちます。
【RPA導入の理由②】働き方改革の実現
政府が打ち出した施策により、「働き方改革」の実現が多くの企業で急務となりました。
単純作業を代行するRPAを導入すれば、
・労働時間を短縮できる
・よりクリエイティブな仕事に専念できる
として、生産性向上や従業員満足度のアップが期待できます。
【RPA導入の理由③】競争力の強化
欧米では日本よりもRPAに注目するのが早く、多くの企業でRPA導入をどんどん進めています。
グローバルな競争に負けないためにも、日本企業もRPAを導入して業務効率化・生産性向上を進める必要があるというわけです。
RPAの仕組みと他ツール(AI・マクロ)との違い
業務を自動化するツールとして、RPAはしばしばAIやマクロと混同されがちです。
そこで、それぞれの特徴や違いを以下の表に簡単にまとめました。これらのポイントを押さえて、RPAに対する理解を深めていきましょう。
名前 | 特徴 |
---|---|
RPA | ・さまざまなアプリケーションの定型業務を幅広く自動化できる ・高度な専門知識がなくても、操作できるケースが多い ・主体的な処理はできず、あらかじめ設定したルールに忠実に従う |
AI | ・データベースの情報をもとに、状況に応じて自律的な判断ができる ・開発や運用に大きなコストがかかる |
マクロ | ・Excelなど一部のアプリケーションの操作のみ自動化できる ・プログラミングなどの専門知識がないと、操作が難しい |
※RPAとマクロについては「RPAとマクロ、どう違う?」を、RPAとAIについては「RPAとAIで働き方はどう変わる?」をぜひ参考にしてください。
RPAのメリット・効果5つ

RPAを導入するメリットや効果は、大きく5つあります。それぞれ解説します。
1. 人的ミスを防ぎ、業務品質を向上できる
RPAは設定したルールに従って動くので、人的ミスが起きるおそれがありません。内容を逐一確認する手間が減るうえに、常に一定の業務品質を担保できます。
2. スピーディに業務を処理できる
手作業で一つ一つ業務をこなすよりも、RPAを使えば圧倒的にスピーディに処理できます。なかには年間の作業時間を50〜80%も削減できた例もあります。
3. コア業務にリソースを注力できる
単純作業に割いていた時間を、戦略立案や分析などのコア業務にあてられます。これにより、一人あたりの生産性向上が期待できます。
4. 人件費などのコストを大幅削減できる
人を雇うとなると、採用・教育に多大なコスト(時間や費用など)が生じます。ですが、RPAならコストを大幅に抑えたうえで生産性を維持・向上できます。
5. 働き方改革を推進できる
RPAは人手不足の改善につながるうえに、労働時間の短縮や生産性向上なども期待できます。その結果、働き方改革を推進してより良い労働環境を実現できます。
ほかにも、PC上の定型業務なら幅広く自動化できるため、多くの業界で導入が進むなどメリットは多岐に渡ります。
RPAのメリットについてさらに詳しい知りたい方は、「RPA導入の5つのメリットとは?最大限に活かす方法やデメリットも解説」をぜひ参考にしてください。
RPAのデメリット・リスク3つ
RPAには数多くのメリットがありますが、一方でデメリットやリスクも存在します。主なデメリットは、以下のとおりです。
1. ロボットが停止する場合がある
RPAは「決まった手順の業務」を自動化するのが得意です。ですが、頻繁な手順変更や例外的な処理には弱く、途中でロボットが止まってしまうこともあります。
2. ロボットを管理しきれないおそれがある
ロボットを無闇に作ってしまうと、管理しきれずに「野良ロボット」が発生してしまいます。知らないところで稼働を続け、サーバに負荷をかけたりエラーが起きたりすることも。
3. 不正アクセスや情報漏洩のおそれがある
プログラムの不具合や人的ミスを突かれ、不正アクセスなどの被害を受ける可能性はゼロではありません。重大な事故が起きる前に、セキュリティ対策が必要です。
ほかにも、RPAの導入・運用には費用がかかるので、それ以上のリターンを得られるかのチェックは必須です。導入前に必ず試算しましょう。
RPAのデメリットやリスクについてさらに詳しい知りたい方は、「RPA導入の5つのメリットとは?最大限に活かす方法やデメリットも解説」をぜひ参考にしてください。
RPA導入の成功事例
RPAを実際に導入し、成果を上げた事例は数多くあります。
たとえば、弊社BizteXが提供するクラウドRPA「BizteX cobit」を利用したある企業様では、定型業務の作業時間を年間70%以上も削減することに成功しました。
自動化した業務 | 自動化した成果 |
---|---|
・業務進捗のレポート作成 | ・作業時間の約70%削減(330時間/年 → 100時間/年) |
・応募者への応募受付メール送信 ・顧客企業への報告書作成 |
・作業時間の約77%削減(650時間/年 → 150時間/年) ・報告書作成の頻度が改善(3ヶ月 → 毎日) |
従来の手作業で対応していた頃と比べると、作業スピードや効率の差は一目瞭然です。
ご参考になりそうな内容として、「【クラウドRPAの導入事例】人材サービス/人材採用代行業務」もぜひご覧ください。
※他の事例も見てみたい方は、弊社の「クラウドRPAの導入事例」を参考にしていただけたらと思います。
RPA導入のステップと失敗しないコツ

RPAを導入するには、主に以下のようなステップを踏む必要があります。
1. 自動化したい業務を洗い出す
RPAで自動化したい業務を、できる・できないに関わらず一旦すべて洗い出します。
2. 実際に自動化する業務を決める
洗い出した業務の中から、負荷が高いものなど優先順位をつけて、自動化したい業務を選びます。
3. 要件に沿ってRPAツールを選ぶ
業務を自動化するにあたり、必要な機能やサポートが備わっているRPAツールはどれか検討します。
4. テスト導入する
無料トライアルなどで実際にRPAツールを導入し、自動化を行います。
5. 導入効果を検証する
ツールの使い勝手や自動化した結果などを踏まえ、改めて要件などを定義します。
6. RPAツールを本格導入する
要件をもとにRPAツールを選定し、ベンダー(販売元)と協力しながら本格的に導入を勧めます。
7. 運用・保守する
現場に応じて自動化を進め、ルールが変われば対応するなどして運用・保守をします。
これらのステップを踏んで、はじめてRPAは真価を発揮します。
とはいえ、はじめてRPAを導入するとなると、分からないことやトラブルだらけで悩む場面が多いはず。
そんな状況を乗り越えるためにも、「RPAツールを提供するベンダーのサポート体制」は事前に必ずチェックしておきましょう。
また、RPA導入でいきなりガラッとやり方を変えるのは禁物です。失敗しないコツは、「まず小さく始めて、大きく育てる(スモールスタート)」を意識することです。
RPAツールの種類と選び方のポイント
「RPA」といってもその数は膨大で、特徴や強みもそれぞれ異なります。
その中から自社に最適なツールを選ぶために、選び方のコツを押さえておきましょう。
前提:クラウド型か、オンプレミス型か
RPAツールには、大きく分けて2種類あります。
1. クラウド型
インターネット上でサービスを利用する形態
(ネット環境があればどこでも・だれでも利用可)
2. オンプレミス型
自社内に専用のサーバやPCを導入・運用する形態
(セキュリティ面に強く、自由なカスタマイズ・連携が可)
従来は、自社内にシステムを保有するオンプレミス型が主流でした。
しかし近年では、低コストで使い勝手のいいクラウド型が登場し、どんどん導入が進んでいます。
自動化したい業務や操作可能なアプリケーションを定めることは、もちろん重要です。
ですが「まずはスモールスタートしてみたい」という方は、テレワークへの移行も進んでいることから、ネット上ならだれでも使えるクラウド型がおすすめです。
RPAツールの選び方のポイント5つ
具体的にRPAツールを比較検討するうえで、見るべきポイントは大きく5つあります。
1. 自動化対応に必要な機能があるか
業務を自動化するにあたり、要件に沿った機能があるか。
2. ツールに柔軟性・拡張性があるか
運用時にスムーズに調整できたり、他サービスとの連携がしやすいか。
3. コスト以上の成果を見込めるか
RPAの導入・運用にかかる費用以上のリターンを得られるか。
4. ⾮エンジニアでも使いやすいか
専門知識がなくても、直感的に操作しやすいか。
5. カスタマーサポートは充実しているか
困ったときに頼れるサポート体制があるか。
ツールの選び方のさらに詳しいポイントは、「失敗しないRPAツールの選び方!最適なツールを見つける5つのポイント」をぜひ参考にしてください。
ちなみに、なかには無料で使えるRPAツールもありますが、基本的におすすめしません。
というのも、有料ツールと比べると機能面・サポート面で大きく劣ることが多く、「業務効率化」という本来の目的から外れてしまうおそれがあるためです。
無料ツールでなく有料ツールがおすすめな理由については、「無料のRPAツールは逆効果!?フリーソフトより有料ツールがおすすめな理由」で詳しく解説しているので、気になる方はぜひご覧ください。
まとめ:RPAで業務を自動化・効率化しよう
これまでの内容を、改めてまとめます。
・RPAとは、人間の代わりに業務をこなしてくれる自動化ツールのこと
・事務作業など「決まった手順で・繰り返し行う定型業務」の自動化が得意
・「人手不足の改善」「働き方改革の実現」などを理由に、近年導入が進んでいる
・RPAを導入すると、業務効率化や生産性向上などの効果が期待できる
・RPAツールにはクラウド型とオンプレミス型があり、近年はクラウド型が主流
RPAを導入すると、業務の自動化・効率化によって生産性を大幅に向上できます。
自社の生産性や労働環境などを改善するために、ぜひRPAの導入を検討してみてください。

弊社BizteXが展開するクラウドRPA「BizteX cobit」では、1週間お試しできる無料トライアルを実施中です。トライアル時に作成したロボットは、導入後もそのままご利用いただけますので、ぜひお気軽に試してみてください。

まず情報収集をしてから検討したいという方向けに、
・クラウドRPAを無料で体験できるオンラインセミナー(毎週水曜に開催)
・クラウドRPAに関するおすすめ資料集
なども用意しているので、こちらもぜひご活用ください。

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